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母に手を引かれ、祖父のお墓参りに行った帰り道、白い帽子に黄色のリボンを結んだ女の子が目を手で隠すように泣いていた。
僕はその子があんまりにも悲しそうに泣くものだから、思わず声をかけた。
「どうしたの、どこか痛い?」
女の子は答えるでもなく泣いている。僕はどうしたらその女の子が泣き止んでくれるのか必死で考え、とっさにその時、幼稚園で流行っていた遊びをその子に教えた。
「たんぽぽひとつ、風船ふたつ、アイスがみっつ、たこ焼きよっつ、ママがいつつ、ぐるりと回ってジャンケンポン」
僕はパーを出し、それにつられるように彼女はチョキを出し照れたように笑った。
「こうするとね、涙は忘れちゃうんだよ。好きなものを数えるの」僕はそう言った。
そうすると、彼女は首を振りまた悲しい顔でうつ向いた。
「忘れちゃだめなの、探してるの」
「探してる?」
「大事な大事な子犬、寂しくないようにってパパとママからのプレゼント。でも、どこかに逃げちゃった」彼女は震えるように肩を動かした。
「よし、じゃあ一緒に探そう。一人で見つからないなら二人で探そう、そうすればきっと見つかるよ」
彼女は僕の顔を見つめ嬉しそうに「うん」と頷いた。
その時、母をはじめ周りにいたはずの大人たちの言動はさっぱり思い出せないが、彼女の表情と言葉は何故だか巻き戻ししたみたいにしっかりと思い出せる。




