始まりの宴
ー7年前 カナリア地方 アリアス村ー
アラン「母さん。父さんは何のお仕事をしてるの?」
母「父さんはね王様を助けるお医者さんなのよ。父さんがお仕事頑張ってるから私たちもこうして生活できるの。父さんに会えなくてさみしい。」
アラン「大丈夫だよ。母さんがいる」
母「泣いてもいいのよ。」
アラン「泣かねーよ。男だから。じゃあ遊びにいってくるね。」
*俺が7歳だったころ父さんが王都に単身赴任し、そこで王専属医として働いていたためお金に困ることはなかった。当時は今ほど奴隷制度が実施されていなくてここアリアス村は息抜きの場としてカナリア地域の中でも有数の観光地であった。
アラン「おはよう‼︎ヘッジさん」
ヘッジ「よう‼︎アラン元気してたか⁇」
*この男はヘッジ・バルガス。王族守護隊に所属しているアリアス駐屯兵。昔大怪我したときに父が面倒をみたことに対して恩義を感じているらしく俺と母さんによくしてくれた。週に一回だけヘッジさんの休日があるからその日は毎回ヘッジさんの話を聞きに家まで出向いていた。
ヘッジ「ポルボフが奴隷地域に選ばれたのは知ってるか?」
アラン「うん。奴隷になると王様の命令にしたがわなくちゃいけないんだよね?」
ヘッジ「命令なんて生優しいものなんかじゃない。奴隷はに人ならぬモノだ。7歳のお前にはまだわからんよな。」
アラン「傷ついた人を治すのが父さんの仕事だから大丈夫でしょ?」
ヘッジ「ああたしかにレイスさんは立派のお医者さんだ。どんな怪我や病気も治してくれるかもしれないね。でもね、心の傷は一生癒えないかもしれない。」
アラン「ここは?アリアス村は大丈夫だよね?母さん病気で体が丈夫じゃないんだ。逃げられないよ。」
ヘッジ「そのために俺がいる。」
「ウゥゥゥゥンウゥゥゥゥン」サイレンの音
「非常自体発生。非常自体発生。ポルボフからの脱走民複数名がカナリアに侵入。内何名かをイエロアにて発見。カナリア支部守護兵及び近辺の駐屯兵は直ちに援護に回れ‼︎」
ヘッジ「こいつは参った。仕事が入っちまった。お家に帰って待っててくれ。話の続きは後でしよう。」
アラン「う、うん。気をつけて。」
カナリア イエロア
イエロア駐屯守護兵「三名の脱走民を発見うち2名は射殺。もう1名を発見次第処刑せよ。」
ヘッジ「おいおい、なにもそんなに焦らなくても捉えて捕虜にすればいいじゃねぇか?」
守護兵「貴様はアリアス支部の者だな⁇あんな片田舎でのうのうと生きているからそんな考えが浮かぶのだ。市民は今恐怖に満ちている。奴隷となるべきモノ達が今ここイエロアに足を踏み入れてしまったのだ。やつらは根絶やしにせねばならん。」
ヘッジ「同じ人だろ?なにが違う。顔か力か金かそれとも血筋か?死んだらみんな屍だろ?帰る場所はみんな同じ土だ。」
守護兵「貴様?王への冒涜とみなしこの場で…」
「待ってよ‼︎」
守護兵「あん?」
ヘッジ「お前どうしてここに?」
アラン「奴隷の人が捕まったら殺されちゃうんでしょ?死んだら怪我を治せないよ。」
ヘッジ「俺の後をつけてきたのか?電車は?」
アラン「電車は駅員さんに教えてもらって乗ってきた。お金はたくさんあるんだ。このお金でその人たち救えないかなぁ?」
守護兵「移民は基本的に認められてないが、人間を奴隷として買うということならば中流階級の君には認められている。」
守護兵2「隊長見つけました‼︎餓鬼ですがポルボフからの脱走民で間違いありません。」
*守護兵が連れてきたのは俺と同い年くらいの子供だった。しかし、やせ細り一週間は飲み食いしてないようだ。
?「僕の名前はマルコ・ベンダー。ここカナリアに住む人間は腐ってる。つい3週間前まで一緒だったじゃないか。それなのにチェルヒ国王が死んだからって突然僕らは奴隷だっていって差別するんだ。シリウス王がなんだってんだ?王が人からすべてを奪うならなんでお前達は王を守るんだ。国民はどうなるんだ?」
守護兵「小僧遺言はそれでしまいか?王の命は絶対だ。我々は王を守るためだけにいる。いち奴隷民程度に王の価値をはかれはしない。安らかに眠れや。哀れなモノよ。」
アラン「待て‼︎彼は僕が買う。いくらだ⁇」
マルコ「え?」
アラン「俺は知らなかった。王が王が人を人と思っていないなんて。父さんはそんなやつを助けるために医者になったのか?母さんの病気を放っておいて。」
守護兵「ほお、君の父は王専属病院で働く優秀な医者ですか?でしたらお金には困ってないでしょう。彼は子供ですが育てば屈強なゲルド民族。我々が彼らを消したがっている理由はそう彼が身体的に優れすぎているから。王にとって驚異になるものはすべて滅ぼさなければならないのです。」
ヘッジ「おい。もうなにも聞くな‼︎そいつらは悪魔だ‼︎」
アラン「とにかくだ。俺はそこの男を買う‼︎」
ヘッジ「おい‼︎やめろ。それは悪魔の契約。奴らと同類に‼︎」
アラン「心配いらないよ。俺は医者の息子だ。守りたいだけだ。」
守護兵「そうですね。子供だから安く売りますよ。50ドルくらいで。君のお父さんが作ってくれた新薬のおかげで我々の生活は潤っていることだしね。」
アラン「新薬⁇それって母さんの病気に⁇」
守護兵「人を殺す兵器ですよ。あの毒は怖い。ヒトがまるで虫ケラのように死ぬんだ。ハッハッハッ」
アラン「う、うそだ⁉︎父さんは立派な医者だって」
守護兵「そうだとも、立派さ。王のために魂を売って死神になったんだから。」
アラン「うっうぁぁぁ」
ヘッジ「てめぇそれを何故話した⁇この子に関係ねぇじゃねぇか。」
守護兵「打て。王に楯突く兵などゴミ以下だ」
「ドンッ‼︎」銃声
ヘッジ「ぐはぁ。」
アラン「ヘッジさん?」
ヘッジ「おい。アランそれとマルコといったか。お前らいっ生きろょ…この大地が腐りきる前にちゃんと育て。立派な花を咲かせる種に…」
アラン「頃してやる。」
*父の真実を聞いたこと。ヘッジさんを殺されたことへの怒り悲しみが混沌とかしてわけのわからない気持ちでぶつかっていくも叶うはずもなく。気絶させられた。
守護兵「彼を無事に家に送り届けなさい。彼らはいづれ使える。」
ー現在 カナリア 電車イエロア行きー
*嫌な夢を見た。7年ぶりだな。イエロア。