Wird bestimmt -帰還-
ー世界からヒトが消えたらどうなるのだろうか?僕は知らない。人のいない世界を僕は知らないー
ポルボフ ゲルド 山中
*マルコの過去を聞いた。父親の死。脱走民としてカナリア入りしたこと。俺たちと出会う前のことを。
マルコ「アラン、カムイ聞いてくれ。俺は父さんと約束したことを果たすといい続けてきた。復讐じゃないと暗示をかけてきた。けど本当はやつらをめちゃくちゃにしてやりたかった。ヒーローなんてどこにもいやしない。」
アラン「いるんじゃねーの?」
マルコ「え?」
アラン「いやなんでもねぇ。とにかく親父を超えてみせろよ。俺らはそのために生まれてきたんだろうからよ。」
マルコ「くせぇよ、馬鹿が。」
アラン「うっうせぇよ。柄にもなくしょげてるお前を慰めてやったのによ。」
*カムイが全く会話に入ってこなかったこと、全く笑っていなかったことに気づかなかった。俺はカムイの過去をなにも知らなかった。
?「おい。君たち。ちょっといいかね?」
*見るからに弱々しく骨と皮しかないような貧相な爺さんが話しかけてきた。
アラン「あ?どうした?爺さん。食料ならねーぞ。」
*てっきり物乞いだとばかり思っていた。
?「わしは、ビーアビレッジ村長。カルボじゃ。ぬしらに頼みごとをお願いしたいのじゃ」
カムイ「頼みごと?なんだい?」
?「先日、パルボフからあるものが盗みとられたのをご存知でしょうか?」
マルコ「はい。なにが盗まれたのかは知りませんが、国王軍の精鋭部隊の多くがパルボフ入りしていたことを機に我々はカナリアから抜け出してここに来たので。」
カルボ「あれはこの国誕生日に関わる秘宝なのじゃ。あれを悪しき者が利用すれば世界はまた滅ぶとも言われている。」
アラン「爺さんそいつは胡散臭ぇ話だな。そんなもんがここにあったら何故いまさらやつら(守護隊)が取りに来た。やろうと思えばいつでもできたはず。」
カルボ「やつらはずっと世界各地を探し回りやっと見つけ出したのじゃ。我々ポルボフの民は先祖代々これを守ってきたのじゃがゲルドは衰退した。多勢に無勢。数の暴力には勝てんかった。」
アラン「それで?その秘宝とやらを俺らに奪ってこいってのか?俺らが悪利用しねぇとも限らねーのに。あいにく俺はこの国が嫌いだ。ぶっ壊してぇくらいにな。」
カルボ「それでも構わぬ。儂も国のトップがべそかいてこうべを垂れる姿をみたいのじゃから。ただしそうではない。秘宝を使うにはもうひとつ揃えねばならん」
マルコ「大地の神器と英知の巫女」
カルボ「おお、お主知っておったか。話が早い。」
マルコ「父さんが昔よく言っていた。英知の巫女なしに大地の神器は功をなさないと。」
カルボ「そうじゃーそうじゃ。お主の父はゲルドの戦士か?」
マルコ「いいえ。父は学者でした。この国の歴史。王族について深く学識がありました。」
カルボ「なるほどのじゃあお主の父はもう…」
マルコ「ええ。7年前に他界しました。」
カルボ「父親の犠牲を無駄にしたくはあるまい。頼みごと引き受けてくれるかの?」
マルコ「アラン。俺は…」
カムイ「いくよね?いくよね?」
アラン「ちょうど世界を回る旅の途中だ。巫女とやら俺らが探し出す。」
カルボ「おお、引き受けてくれるか。頼むぞ若者よ‼︎」
*ジジイのニッコリと笑った顔が気に入らなかったが、世界をひっくり返せるほどの秘宝に興味があった。俺たちは手段を選べない。この復讐は必ず遂げなければならない。俺たちはゲルド山を後にした。
カルボ「カナリアの音色がまだ生き残っておったか。これを運命というのかのぉ。クロード・チェルヒよ。」
ー歴史は繰り返す
カナリア アリアス村
ここはアラン達の住む村。人口150人ほどの小さな村。ポルボフとの境界線に位置し大層な羅生門と屈強な門兵が脱走民を薙ぎ払う。買い物をするのにも隣町までいかなくてはならないほどで経済状況は基本的に壊滅的でカナリアの中で身分の低い者が多く住む。
カムイ「まさかチェルヒ王の一族が唯一王制度に反旗を翻していたなんてね。僕らは童話の中でしか彼を知らなかったから彼は自分の住むカナリアだけを守ってポルボフやその他の地域を奴隷地域にしたってのが世間の考えだよ…」
マルコ「シリウス王が力を持ち始めその他6人の王族が邪魔になったから滅ぼしたと言われるが。シリウス派につく王は参謀に置いているとも言われる。実際どうなのか…俺たち市民は知らないことが多すぎる。」
アラン「とにかくチェルヒの一族が死んだとされるのが7年前…その間俺たちが奴隷にされなかったことには何か理由があるはずだ。その理由が巫女にあるとしたら。目指す場所は決まった‼︎」
カムイ「イェーイ‼︎レッツラゴー」
マルコ「はしゃぎすぎだ。」
カナリア 某所
?「私…逃げなくちゃ。もう誰も信用できない。」
時を越え何度でもー
つづく