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私には性別がありませんでした  作者: 六条菜々子
第3章 きっかけ
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第35話 校長先生

「どうだ?女子高生生活には慣れてきたか?」

「はい。おかげさまで。こんな風に暮らせるようにしてもらった、校長先生への感謝の気持ちでいっぱいです」

俺はようやく自分の体調が安定してきたことを校長先生に報告しに来た。

久坂先生によると、毎日のように俺のことを心配してくれていたようだ。

『病気とかにはかかってないか』『体調とかはどうなんですか?』『いじめとかにはあってないですか』などなど。

俺が女体化したこととは直接関係ないことも心配していたみたい。

なんてやさしい人なんだろう。

そこで、せっかくの機会だから俺は校長先生に質問をした。なんでここまで俺のことを気にかけてくれるんですか?って。

そう聞くと校長先生は困った顔をしてしまった。俺、なんか変なこと聞いたかな?

そう思っていると、校長先生はゆっくりと口を開き、話し始めた。

「君はこの高校に入る前から女の子になりたいと思っていたのか?」

入る前?なんでそんなこと気にするんだろう。

確かに俺は昔から女の子への変身願望のようなものはあった。

でも中学生の時は違う。羽衣と話すうちに俺は女だと気付きながらも男として生活していた。

決して興味本位で女の子になりたいと思ったわけじゃない。

「ということは君は『女の子』と心の中では気づいていたのにもかかわらず、隠しながら最初の高校の二年間を過ごしていたのか」

「はい」

そう答えると校長先生は申し訳なさそうな顔でこっちを見たかと思ってたら、突然俺を抱きしめた。

「え?え?」

あまりの展開の速さに俺は混乱してしまった。

なんで?という言葉で頭の中が埋まっていた。

「じゃあ沙希。今から本当に大事な話をするから、ちゃんと向き合ってほしい」

向き合う?俺には何の事だか分らなかった。でも校長先生は話を続けた。


まず校長先生は自分の子ども時代のことを話した。

特に裕福でもなく、かといって貧乏でもない。ごくごく普通の家族だったこと。

スポーツが大好きで、野球にはまっていたこと。

中学の時は野球部の部長になって、大会で優勝したこと。

でも野球のことばかりで勉強は全然ダメだったこと。

身内でもない俺に校長先生は過去をとても詳しく話してくれた。

やがて校長先生が高校生だった時の話をし始めた。

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