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私には性別がありませんでした  作者: 六条菜々子
第1章 変わっていく俺
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第13話 生徒会役員選挙!

「生徒会の選挙?」

「うん。あんた、前に生徒会室に行ったときに、生徒会に興味をもったみたいだったから、どうかなと思って」

「でも、うーん」


 生徒会―。

 俺は女子になるまでは、学校行事というものになんら関心がなくて、今この話を聞かされるまで、この学校に生徒会役員の選挙があるなんて知らなかった。それはそれで問題だとは思うのだが。実は前から『生徒会』という存在に興味はあった。だが、正直面倒くさそうだなと思ってずっと避けていた。そもそも、重度の対人恐怖症である俺は、ある程度話している相手以外の人と話すと、年上の方を除いて、じんましんが出たりする。その病的な症状が出ることによって、周りに迷惑はかけたくないのだ。だから極力、新しい人間関係を作りたくないのが本音だ。実際、冬服だからあまり目立たないが、紗那と由果に初めて話しかけられた時もじんましんが両腕に出てきた。

「いい機会じゃん?ああいうのは一回経験しとくもんだよ。これからのためにも」

 生徒会に入ったことがないはずの紗那ちゃんが、俺の生徒会への加入を猛プッシュしてくる。一体、何が望みなんですかこの人は。

 その後も俺への加入願いが主に紗那から来たため、さすがに俺も疲れてきた。

「ねえ、入らないの?」

「…わかった。生徒会入るからっ!それでいい?」

 紗那ちゃんの猛プッシュに心を折られた俺は、担任に生徒会への加入願いを出した。

「本当にいいのか?『一応』、まだ転校してきて1ヶ月半くらいだろ」

「大丈夫です。これも社会勉強ですよ」

「そうか。いや助かったよ、中津。ありがとう」

 生徒会に入るといっただけで感謝されるのか。どれだけ人気ないんだよ、生徒会ってのは……

 ほかの学校の生徒会もこんな感じなのだろうか。

 そもそもだ。なぜ紗那はここまで俺に生徒会に入るように言ってきたんだ?特に理由もなく言ってきたとは考えにくいのだが。



「やばいよ、緊張してきたよ!」

 今日はついに生徒会選挙の日。この1週間緊張しっぱなしだった。人の前に出る。それがいかに大変なことか。ある人は言った。『緊張こそ生きている証だ』と。今から約300人の前で演説をする。まあ、今回は幸いにも選挙にはならず、信任・不信任のみを決めるらしい。それで不信任になったらどうするんだ!心がボロボロになるぞ!って話だが。

「…これからよろしくお願いします」

 予想以上に俺まで回ってくる順番が早かった。まだ俺の心の準備が整っていないよ!

「では続いては2年4組の中津沙希さんの演説です。では壇上に上がってください」

 ついに呼ばれてしまった。まあ、今から考えてもどうしようもないので、どうせなら早めに終わらせよう。落ち着いてな。

「えーっと、生徒会に立候補した中津沙希です…」


「終わったー」

「おつかれー沙希ちゃん」

「ありがと。二人とも」

 ようやく、演説という緊張から解き放たれた。むしろ、すっきりした感じがある。やはり、人前に立つというのはすごいことだな。そう考えると、堂々としている大人というのは偉大なのかもしれない。


 生徒会役員立候補の演説が終わった次の日、俺は投票により信任されて正式に生徒会に入ることになった。無事に入れることになってほっとした気持ちもあるが、他の生徒会役員がどんな人かな?という不安な気持ちが入り混じって、演説の時とはまた違う、もやもや感がある。ああ、また緊張してきたよ。また、じんましんが出そうだなぁ。

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