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私には性別がありませんでした  作者: 六条菜々子
第1章 変わっていく俺
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第12話 学校見学と生徒会

 俺はまだ女子として高校生活を始めて1ヶ月程しかたっていない。なので男子として通っていたこともあるのだが、俺が男子高校生の時の姿を知らないみんなは、俺がまだこの学校のことをよく知らないと思っている。髪を伸ばしたりとか制服を女子用にしたりはしたが、顔はさほど変わっていないのだ。武弥以外にも気づきそうな気もするんだが。なんでここまでばれないんだ。まあ、そういうこともあって、今は由果ちゃんと紗那ちゃんに学校の中を案内をしてもらっている。男子だったときもこの学校にはあんまり詳しくなくなかったから、もしかすると、これはちょうどいい機会なのかもしれない。実際、俺が行ったことのないところへ連れて行ったりしてくれて、とっても楽しい。やっぱり、聞いてみないとわからないこともあるもんだなあ。

「結構日が傾いてきたね」

「ほんとだねえ。うーん、沙希はまだどこか行きたいところある?」

「特にないかなぁ」

 行きたいところと言われても、まだ残っているところがどこなのかも、俺には分からない。まだ、あったっけ?いつも気にしてないからなぁ。

「それじゃ、次は生徒会室かな?」

 生徒会室…そうか、生徒会室が残ってたのか。俺はいまだに行ったことがない。まあ、そもそも生徒会役員とかでもない限り、生徒会室に入ることなんてないだろう。今回は、由果ちゃんの友達が生徒会の人だということを教えてくれたので、せっかくだからとの中に入ることになった。


「こんにちはー」

「おお、由果待ってたよ」

 この人は南崎君というらしい。とっても性格がいいとのうわさで、に後輩女子からの人気がある。見た目は、俺の見る限りでは普通かな?役職は会計。

「あれ?そういえば珍しく今日は一人なんだね」

 周りを見通すと、書類などももちろんあるが、それ以上に気になったのがダーツセットだった。準備すると、すぐにできそうな感じだ。あとはビンゴ用紙。もしかすると、抽選台もあるのだろうか。ここは、ただの生徒会室じゃないことだけは確かだ。

「ああ、会長のこと?今日はなんか見崎先生の手伝いに行ってたぞ」

「見崎先生って誰?」

 由果ちゃんはそういいながら、俺のほうを向いてきたが、そんなこと知るわけない。

「え?知らないか?生徒会顧問の先生なんだけど。授業とか持ってないのかな」

「私も初耳です」

 当然のことながら、俺は男子高校生時代も合わせると、1年の時からここにいるのが、そんな名前の先生居たかな?記憶にない。

「まあ、知らないのも当然かな。由果はともかくとして、中津さんは転校してきたばっかりだからね」

 まだ、俺が転校生だって話題を振って来るか。まあ、それを口実にして来てるんだから、言われるのはあたりまえか。


 南崎君がお茶を入れてくれたので、由果の提案でこのまま会長を待っておこう。ということになったので、しばらく待っていると、生徒会室のドアが開く音がした。

「ただいまーってあれ?お客さん?こんなへんぴなところにいらっしゃい。まあ、ゆっくりして行ってよ」

 あの人が会長なのか。確かに見たことあるかも。確か、前の生徒会演説の時にみたんじゃないかな?でも、それ以来だなあ。っていうか普通に格好いいな。なんだか、想像してた感じと全然違う。

「今日はどうしたんだ?俺に何か用か?」

「いや、そういうわけでもないんだけどね。中津さんを学校見学させようと思って回ってるついでに来てみたってわけ。じゃあ、会長にも挨拶していこっかって話になってね」

 由果が会長さんに丁寧に説明をしてくれた。すると、会長さんがこっちを見ながら、一瞬目を閉じたかと思ったら、俺に握手を求めてきた。

「よろしく、えっと中津さんだっけ?」

 ここで握らないというのも不自然なので、とりあえず握手することにした。

「こちらこそよろしくね、会長さん」

 私はまだこの人の名前を知らないので、こう呼ぶしかない。

「ああ、まだ俺の名前いってなかったな。俺は春沢雄介です。春沢って呼び捨てでいいから」

「わかった。春沢会長」

 俺は春沢と彼の提案通り呼び捨てで良かったのだが、何となく覚えやすいように会長を付けて呼ぶことにした。そのほうがしっくりくる感じもある。


 俺と由果ちゃんは生徒会室に特に用事はなくなったので、教室に帰ることにした。

「じゃあね、春沢会長と南崎君」

「おう、じゃあな中津さん」

「またいつでも来ていいからな」

 俺は静かに扉を閉めた……

 春沢会長かー。なんだか、噂通りのいい人そうだったな。

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