ダンジョン調査
あれから数日が過ぎた。
ひとまず魔力ギリギリまで呪いの浄化を毎日行ったことで、溜まりに溜まった道具はひとまず片付いた。
呪いの浄化に関しては、ダンジョンを大人数で調査に行った団体が帰還した時に溜まりがちになる。
私がくるまではその溜まった呪いを日々浄化していたけれど間に合わずに教会の倉庫が埋まりかけていたらしい。数にして言えば3桁に突入していた。
聖女の魔力であれば教会で神官が呪いを儀式によって1,2個浄化している間に10個前後の呪いを浄化できる。
日によって差があるとはいえ、呪いの浄化依頼は舞い込んでくる。
これが時間に制限がないものであれば問題ないけれど、冒険者の装備などとなると安全や依頼の達成に関わるため優先度があがっていく。
結果的にすぐには使わないものとか売却されたものに呪いが付与されていたと持ち込まれて急ぎではないと言われたものが倉庫にたまっていたわけだ。
しかし、それで浄化が間に合わなくなっては教会の評判も悪くなりかねない。
そしたら聖女の力も借りたくなるわけだと、この国にきてすぐに納得したのが懐かしい。
それはそれとして、今日のこの後のことだ。
リットが何か用があるので仕事場に来るといっていたけれど、リットが直接来る時点で嫌な予感しかしない。
そんな考えがよぎったタイミングで扉が開いたことを告げるベルの音がなった。
「アリア。今は大丈夫かな?」
「今は見ての通り私1人よ……なんで、リナまでいるの?」
リットの身長で最初は見えなかったけれど、扉を後ろで閉めていたのはリナだった。
「彼女の処遇を決定したいと思ってね」
「それって私関係なくない?」
火事のことを誤魔化したとして、放火ではないにしても出火の原因であるリナの扱いをオーディア家が預かるまではこの前の話でわかっている。
でも、いくら考えても聖女との関係性に結びつかない。教会が係るとしてもその場合は私ではなくウィン神父と話をつければ良いはず。
嫌な予感が当たりそう……。
「君も知っての通り火事は事故に近い形ではあるものの、彼女の不法侵入が招いてしまったことだ。そのため、表に出さないとは言え裏でも何かしらの償いをしたとしておきたい」
「まあ、その考えは理解できるわよ。ていうか前にも似たことは話したじゃない。だからこそ、私となんの関係があるのかってことよ。処罰の記録に署名でも必要とかかしら?」
「まあ簡単に言えば罰金で済ませようと思う。しかし、これも君も知っているが彼女は現在かなり困窮している」
「うぅ……」
リナが下を向いてしまった。
「まあ、わかるけど。結論は?」
「実は君に新たな依頼をしたくてな。これは家同士の個人的なものではなく、教会の聖女に対して国からの依頼というものだ」
「うん? まあ教会側が認めてるならいいけれど」
「うむ。あとは君の許可のみだ」
そういうとリットは契約書を思わしきものを渡してきた。
「えっと……は? これ、要するに私にダンジョンに潜れってこと言ってる?」
「そうだ。君もなんとなくは感づいていると思うが、この国を開拓当初から守ってくれていたダンジョンだが、発掘物が増えてきて他と比べて呪いのアイテムの発掘数が多いのだ」
他のダンジョンの実態を私は詳しく把握していないけれど、感覚的にはそれを感じていた。
「なるほどね。まあ、それ自体はいいわよ。聖女として荒事にも対処できるよう、体は日頃から動かしてるから。だけど、リナとの関係は?」
「端的に言えば君のダンジョン調査を手伝うことで発生する発掘物の売上や依頼達成の報酬金などで罰金を返してもらいたいと考えているんだ」
「…………」
思わず無言になってしまった。
私はどんな顔をしているのか自分で想像がつかないけれど、唖然としているかポカンとしていると思う。
「ちょ、ちょっと待って。それって私のメリットは?」
「強いて言うならば調査において、雇う人間の費用が少し安くすむだろう。彼女の能力自体はダンジョンに潜って戻ってこれる程度なのは証明されているからな」
たしかに呪いのアイテムを持っていたってことは、ダンジョンかた帰ってきてるってことだけど。
「まあこれに関しては命に関わるから強制力はないけれど、君に住居を提供している中での手伝いの一貫として、ついでにそれで罰金完済までの監視業務をしてくれれば、オーディア家から彼女を雇ったと過程した場合の費用は負担しよう」
「なるほどね……うーん」
「お、お手数をかけてしまってすみません」
小動物みたいに謝ってるリナを見てると、罰金を理由に無理にダンジョンに潜っていくのと放置するのも不安になってくる。
一度こうして事情を知ってしまったのが運の尽きということかしら。
「わかった。罰金完済までは保証できないけれど、しばらくは私と仕事してもらう。ただ、それなら教会の業務も手伝わせていい?」
「ふむ……では、調査協力の冒険者としてではなく、一時的な使用人として雇う形にしよう」
「それでいいわ。もちろんリナが納得できるならよ」
「へ!? あ、あのアタシはその冒険以外は自信がないですけど。それでも大丈夫でしたら」
こうして、私はなんの縁か仕事仲間が増えて、ダンジョンに調査にでることになった。
ただ、ダンジョンに入る前にリナの装備含めて整えないとさすがに不安よね。




