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呪いの聖女じゃありません~呪われた迷宮と聖なる少女~  作者: 初雪しろ/Yuyu*


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呪われたアイテム

 目の前のゴブリンは片手に棍棒を持っている。

 3体でてきたうちの1体はレナが引き付けていて、もう1体は少し後ろで距離を取っている。

 もしかすると、こっちに来る可能性も考えておかないといけない。


「後は私の拳がどこまで通じるか」


 そうやって状況を見ているうちに、しびれを切らしたのか私の正面にいたゴブリンがまっすぐこちらにむかってきた。

 特に武器を隠しているとかはなさそうだけれど。

 ひとまず振り回してくる棍棒を回避する。

 そして右拳に魔力を込める。

 魔力には魔法として使用する他にも、こうやって拳の威力を上げることや身体能力の一瞬の向上に使うことができる。

 もちろん、魔法が使えるならそっちのほうが効率的だし多様な手段が選べるようになるけれど。


「ただ近接戦闘においては詠唱を必要としないこういう使い方もありなのよ!」


 大ぶりの棍棒の振り下ろしの隙に私は姿勢を低くしてゴブリンの腹めがけて拳を真っ直ぐに叩きこんだ。

 ゴブリンにも骨はあったようで、慣れない骨折したであろう音が耳に入った後に――想像以上に体ごと吹き飛んで洋館一階の窓を割って中に消えた。


「……そんなにとぶ?」


 私はお世辞にも筋肉は女性にしてはあるかもしれない程度だと思っている。魔力を込めた一撃でゴブリンの体重の軽さだったとしても、想像の数倍吹きとんだ。

 今まではしっかりと固定した上に威力を吸収するようなカカシか、反抗期に激しい兄弟喧嘩で兄様に一度叩き込んだことしかなかった。

 だから、自分の拳とか攻撃の威力を正確には把握していなかったのだけれど――喧嘩とかですぐに手が出る性格じゃなくて良かった。


「アリアさん、もう1体いきました!」


 割れた窓の方に視界を奪われているとき、リナの声ですぐに視線を戻す。

 控えてた1体も仲間をやられたからか雄叫びのような声を上げながら棍棒を振り回してくる。

 しかし、身長差もあって一撃をよけるというよりも棍棒の届かない距離まで下がれば簡単に回避できる。

 まあ、そうすると私の場合は拳が届くか怪しいけれど。

 ただ、考えなしに大ぶりの攻撃の隙をつくのは容易い。

 リナの方を見ると対応してたゴブリンにとどめを刺したところだった。


「リナ、もしもの時はフォローお願いしてもいいかしら?」

「なにする気ですか?」

「少し自分のできることを知っておきたいのよ」

「アタシにできるフォローはしますけど、あまり無茶はしないでください」

「むしろ手加減みたいなものだから、あっちの動きが止まらなかったらよろしくね」


 私はそう言ってゴブリンの縦振りの攻撃をよける。

 そして、再び振り上げようとしたのを見て今度は魔力を込めずに全力の拳を叩き込む。


「グギャッ!!」


 腹に拳が入った瞬間につばを吐きながら嗚咽を漏らすと棍棒を落として数歩後ろずさる。

 流石に一撃では倒せないかと思ったけれど、次の瞬間に泡を吹いて倒れた。


「いっそのこと死んでいてくれたほうが、心情的に楽なのね」


 ダンジョンで生まれた魔物とはいえ、無抵抗の状態の命を奪うのは少しくるものがある。


「ダンジョンの中だとあまりないとは思いますけれど、ゴブリンの上位種の群れが近くにいた場合に復讐の対象に選ばれかねませんから」

「そうよね。ごめんなさい」


 私はそう言ってから止めを刺した。

 中に吹き飛ばした1体は少なくとも重傷は確実だけど。


「どうしましょう」

「未探索の上に未知の建物ですから不用意に入るのはさけたいです」

「そうよね。というかその手に持ってるものは何?」

「ゴブリンが持ってた物です。戦利品ですね」


 リナはそう言いながら、いつの間にか手に持ってたポーションの瓶を見せてくる。

 いや、見た目は普通の回復のためのポーションなんだけど微妙に嫌な感じがする。


「ちょっと、そのポーション見せてもらっていい?」

「いいですけど」


 リナからポーションを受け取った瞬間に嫌な感じが確信に変わった。

 このポーションは呪われている。消耗品の場合は使ってみないと、呪いの効果はわからないけれど呪われていることはわかった。


「あなたこれ手に持って何も感じなかった?」

「普通のポーションだなって?」

「…………」


 リナって本当に魔法戦士なのよね。今回は相手がゴブリンだったから使ってなさそうに見えたけど。

 聖女の私が呪いに対して敏感になっているとは思うけれど、それにしたってリナの呪いというか魔力に対しての感覚は鈍感な気がする。


「これ、呪われてるわよ」

「へ!? そうなんですか」

「まあ、これくらいなら私がこの場で浄化もできるけど。調査のためにきたし、必要にならない限りは呪いはまだ残しておきましょう」

「うーん。何も感じなかった」


 ラビリアに戻ったらちょっと魔法について確認してみようかしら。

 まあ、それはさておいて。


「今回はちょっと予定外のことがあったし戻りましょう。それで、準備して改めてここの調査に来るわよ」

「いいんですか? 呪いの調査だけなら無理にここを調査する必要は……」

「新しい情報を見つけたらギルドから報酬がでるんでしょう」

「それは……まあ、はい」

「じゃあ、いいじゃない。まあ、どちらにせよ一旦元の道に戻って森を一周して帰りましょう。他にも新しい道が出来てるかも知れない」

「わかりました。ちなみにお怪我は?」

「この通り問題なしよ」

「では、またアタシが前を」


 私たちはそうして森の洋館を後にした。


 その後は森を一周している間に数度魔物との遭遇があったけれど、リナによればこのくらいの遭遇は普通らしい。

 他にもいくつか宝箱や木箱などを見つけて道具も手に入れたけれど――全て合わせて考えると半分はいかないけれど呪いが付与されていた。

 今回はすべてその場で浄化できそうな呪いだけだったけれど、明らかに多い気がする。

 調査が目的だし、戻ったら順番は逆になってしまうけれど他のダンジョンでの呪われた物の割合とかを調べてみないといけなさそうね。


 だけどまあ調査としては収穫はあったといえそう。

 こうして私の初めての冒険というなの調査は無事に帰還する形で謎は残りつつも終わることができた。


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