後編
「ラールシア!ずっと一緒にいてくれるんだろ?共に過ごすと言ってくれただろう?」
「王太子じゃなくなったアレクシスに興味なんかないわよ!」
ラールシアも酷いですねー。
これが殿下の求めていた恋愛というものなのですか?滑稽です。
「あー、ラールシアよ。貴殿も同様に平民とする」
そうよね。ラールシアのせいでアレクシス王太子殿下というただ一人の直系殿下を失うことになったのだから。
「なんで?酷いわ!」
そんなこと言ってもね。アレクシスとラールシアは揃って会場から締め出された。
会場では、「この先の王家はどうなるんだ?」「この国の未来は?」などといった声が多く聞こえた。
「あー、話してもいいだろうか?私も考えたんだが、ウィリアム!継いでくれないか?継承権第2位のハズ」
「放棄するのを忘れてたな」
ウィリアム=ダイナブ殿下は国王陛下の年の離れた実弟。王位継承権はアレクシスに次いで第2位だった。
「てっきりアレクシスが継ぐもんだと思って放棄を忘れてた」
彼は放蕩王子として有名。だけれども、その実他国の実情を学んだり人脈を広げたり言語を習得したりとかなりのやり手だとわたくしは評価をしております。
「ウィリアム王弟殿下でしたら、王家と再婚約をすることも吝かではありませんわ。わたくしは賢い殿方が好きなんです」
わたくしとアレクシス元・王太子殿下が17才。ラールシアは15才。ウィリアム王弟殿下は25才です。
多少年上となりますが、政略結婚ならばよくあることですし、行き遅れの貴族令嬢がかなりのご高齢の殿方の後妻となるようなお話もよく耳にします。
それに比べたら、全く問題などありません!
「エレンシア嬢のような若く美しく高潔で賢い女性が私のような男と婚約をしてくれるのか?」
「まぁ、そのように自分を卑下するなんて。わたくしのことは散々持ち上げておいて。ウィリアム王弟殿下こそ高潔で賢く、人脈も広く他国からの信頼も篤い方だと存じ上げておりますわ」
「ゴホンッ。あー、二人の婚約は締結されたものとみなしていいだろうか?」
わたくしはウィリアム王弟殿下の顔を見てしまいました。なんだか顔が赤くなってしまいます。
こういうのを恋愛をしているというのではないのではないでしょうか?
あんな形式だけのアレクシスとラールシアのようなものはなんだか滑稽すぎて違いますね。茶番?喜劇?そのような感じが見受けられます。
わたくしとウィリアム王弟殿下、今はウィリアム国王陛下との仲は良好。これこそが恋愛をしているのではないのか?ということが多々あります。その度にウィル(陛下の愛称)に訊ねて、笑われてしまいます。
アレクシスとしかともに過ごしたことがないせいで、初恋とか恋愛に疎いようで笑われてしまいます。
しかしながら、閨教育は王太子妃教育にも王妃教育にもありましたので、しっかりと初夜を終えることが出来ました。
この件について、「王太子妃教育とかでは精神論は勉強しないんだな…」と言われました。確かにそうですね。恋のトキメキみたいなものはちっとも教えてもらいませんでした。
後継の王子も産んで、姫もいますし、王宮は大賑わいです。
貴族たちもこの国の行く末を安泰だと見ているようです。
了
元・王太子カップルはどうなるんでしょう?平民ですからねぇ。
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