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自転車後ろに誰乗せる?

 高校1年生の冬、遂に念願だったお下がりじゃない"新車の"自転車を買ってもらった。速度調節も自由自在な8段ギア、幅も太く外径も大きいファットタイヤ、スマホの充電が可能なスピードメーター&電動アシスト。そして………

「荷台があるッ!2人で…乗れるッ!」

 今まで夢に見ていた2人乗り。これが遂に実現できるときがきたのだ。

 僕はこの男子学生のロマン満載の新車に誰か乗せてみたくてたまらなかった。さて、誰を乗せようか…親にバレると面倒だと思うので家族の人以外で考えようと思う。

 No.1 仲がいい友達

「おう!なあなあ健斗、おれ遂に新しい自転車買ったんだよね!」

「お~龍生も遂に脱ママチャリか~」

「なあ、今日放課後帰るときさ……」

(待てよ、健斗もチャリ通だよな?ってことは、あ……)

結論:お互いチャリ通だと乗せられない。

 No.2 電車通学の友達

「今日一緒に帰ろうって?でも龍生チャリ通だろ?」

「それが、今日遂に新車を買って2人乗りできるようになったんだよ!折角なら優希を乗せてみたいなって思って」

「なるほど!おもしろそうだな!」

数時間後

「くそっ!足が、足が届かねぇぇぇ!!」

「優希、これさすがに危ないかもな…やめとくか」

「まあ、これから背を伸ばしていけばいいからさ、まだ159だから」

結論:乗せる人は身長170cmくらいないとキツイ。

 No.3 彼女…は、まだいない…なので、

「とりあえずなんか身長も高くてモテてそうな財津さんを誘ってみた」

「う~ん…チャリ通でもないし背も高くて足も届きそうではあるけれどさすがにオッケーは…」

「もらったよ」

「へ?」

「うそやん…」

翌日

「木村くん?ごめん待たせちゃったね」

(来た、本当に…)

「財津さん大丈夫!全然待ってないから!」

 まるで駐輪場に女神が舞い降りたかのようだった。美しい!かわいい!正に女神!

「木村くんの自転車かっこいいね!結構スピードとか出るの?」

「そうそう!40キロくらいかなあ」

「ええすごい!もうバイクみたいだね」

(よし、よしよしよし!いい会話も温まってきたな…)

「ねえ財津さん、よければ自転車乗って駅の方まで___」

「いや、私ちょっとそういうの苦手かな…誘ってもらったのに、ごめんね…」

「…」

「木村くん?」

僕、撃沈。

結論:そもそも誰も乗せない方がいい。

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