プロローグ
昔々、あるところにお爺さんとおばあさんがいた。
ある日、お爺さんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に。
川に着いたおばあさんが、洗濯板で服をゴシゴシ洗っていると、川の上流辺りから、大きな直径5mくらいありそうな桃が、ドンブラ~と流れて来た。
不思議に思ったおばあさんは、全身の筋肉と根性を使って大きな桃を「うりゃぁ!」と持ち上げ、洗い終わった洗濯物と一緒に洗濯籠に入れて、持ち帰った。
「ただいまー」夜、芝刈りを終えたお爺さんが帰って来た。
「あら、お爺さん!お帰りなさい!それより、聞いてくださいよ!今日、川で洗濯をしていたら大きな桃が流れて来まして!」
この報告に、桃が大好きなお爺さんは喜んだ。
「よし、婆さん!早速割って見よう!」
お爺さんが、台所にいって肉断ち包丁を持って来た。
そして、大きく振りかぶって大きな桃に、包丁を突き立てる。
「パッカーン!」と音がして、桃は割れ中から元気な女の子が二人、出て来た。
「おギャー!おギャー!」
「うぎゃー!うぎゃー!」
お爺さんとおばあさんは、驚いた。
桃の中から、子供が出てきたらから・・・ではなく、二人の驚いた理由のは女の子が、双子、しかも白い髪に紅い目をしていたからだ。
この時代、双子は禁忌とされ、忌み嫌われ、白い髪に紅い目は呪われた子の象徴として恐れられていた。
村中から、目の敵にされることを恐れたお爺さんとおばあさんは、相談の末に村中が寝静まった深夜、双子の一人を桃に入れて、川へ再び流しに行った。
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