8話:力加減の難しさ
今日は講習がある日だ。場所はギルドの訓練場らしい。
俺は朝起きてゴブリンの森を歩くのを日課にし始めており、現在もゴブリンの森の中にいる。
「お、なんか美味しそうなキノコ見つけた。」
鑑定:ムッシュルーム
「毒あるのかな。というかまず俺の体が毒が効くのか分からないけどさ」
多分効かないんだと思う。昨日宿で初めて酒を飲んだんだが全く酔える感じがしなかった。前世だったら少し飲んだだけで酔っていたこの俺が3杯も行けたのだから。ちなみにこの世界、酒は少しばかり高いせいで懐が持ってかれた。
酒が酔えないんだとしたら毒キノコも食べて大丈夫だろう。
「うーん、ここら辺に秘密基地的なの作るか。」
我ながら意外といいアイディアかもな。少し奥まで行って、、あの山とかどうだろう。掘ればいい感じの空洞が出来て貯蔵できるかもしれない。
俺は少し奥に歩いた所にある山を手で堀り、大きさでいえば屈んで自分が入れるくらいの深さまで掘り、かまくら的なのを作成した。
「よし、まあこんな奥来るやつ居ないし大丈夫でしょ。」
森の探索で集めたキノコやら山菜っぽいものをかまくらの中に入れていく。
「普通に入れると腐りそうだな。一応土に埋めるか」
埋めると言っても完全に土に埋める訳では無い。自宅の庭でネギを植えたことあるやつなら分かるだろう。適当に植え直すっつーわけだ。
まあそうだ、これを足湯状態とでも呼ぶか。
そう思ったら天の声さんが訂正してきやがった。
《補足:対象行為は再生栽培と呼ばれます》
まあなんでもいいんですよ。足湯状態のほうがしっくりくるし。
キノコや山菜を足湯状態にし、近くの川から水を持ってきて水をかける。
手ですくってるから運んでくるまでに結構零れ落ちてるんだけどね。
「これでよしっと。そろそろ帰ってギルド行くかぁ。」
何気に穴を掘ったりしていたし時間が経っていた。森は日の光を遮るせいか時間が少しわかりにくい。
少し歩くと開けた場所に出れたので空を見てみる。
あれ、これ昼か?講習はひるからですよみたいなこと言ってたからそろそろ行かないとまずいっぽいな。
話が変わるがこの世界太陽っぽいやつの他にもう1つ惑星が見えるんだよな。The異世界って感じ。
「やべぇこれ絶対時間に間に合わねぇ」
全力出すか。小学校1年生の頃は俺はリレーの代表選手だったんだぜ?まあ俺が足引っ張って2位になったんだけどさ。
そう思い走り出した瞬間ーーー
バゴォーン!
え嘘だよな?今俺の足爆発した?
《解:摩擦熱による爆発です》
2歩目を歩いた瞬間、足が地面に擦れると共にもう一度爆発した。進んだ距離で言うと訳50m。2歩で50mだぜ?こんなん小学校のリレーでやったらもう最強じゃん。
本当にヤバすぎー。俺がもしギャルだったらもう絶叫よ。いや、ギャルこそ逆に冷静になって使い始めるのか?まあ俺はそんな目立ちたくないので軽い走りで帰りますよ、、、
自分の身体の異常さを改めて実感したのであった。
---
「こんにちはー」
「あ、ターシさんですね。お待ちしておりました。既に講義は始まっております。訓練場に行っていただければ大丈夫だと思います。」
「了解でっさ」
訓練場ね、確かこっちか。
俺が歩き始めた時、走りこんで来た冒険者が息を切らしながら受付に叫んだ。
「さっき森の中で爆発が起きたんだ!しかもでかいのが2つ!スタンピードが起こる前兆じゃねぇか!?」
「本当ですか!?直ちに探索依頼を出します。」
「多分B以上がいいと思う!音の厚みがすごかったぜ?」
「承知いたしました。情報提供に感謝いたします」
やっべ絶対俺じゃん、、やらかしたわ。まあ訓練場に逃げちゃおっと。
---
「よし、いい素振りだ。この踏み込みが大事だからな。」
「すいませーん」
「ん、誰だ。」
「ここで剣術の講義を受けれるって聞いたんですけど」
「そうだ。今剣術の講義をしている。だがしかしだな、遅刻するとはどういう事だ?」
そういう文句をつけてきたのはいかにも国の騎士してますって感じの鎧をつけたイケメン剣士だ。
「いつからか聞いてなくて、お昼からなのかなーと思ってまして、、すいませんマジで」
「はっ、聞いたか?皆。まあこんなヤツが剣術を覚えてもどうせ使えないだろうがな。はっはっは。まあ、本当に受けたいというのなら受けさせてやっても構わないがな!」
(あんな軽装備なんて来るところ間違えたんじゃない?)
(まああんな人が剣術学ぶわけないよ。)
おい小声聞こえてるぞ。というか舐めてんだろ。
もう怒った。ぷんぷん!
「申し訳ないんですけどあなた本当に強いんですか?ハッキリ言って態度だけ大きいようにしか見えないんですけど。」
「貴様、今私になんと言った。私はBランクのバモ。ギルドでも名が通っているというのになんという口の利き方!ではわかった。お前の剣術を見せてみろ。まあ、ここに来る時点で実力なんてたかが知れてるんだがな」
煽りは一旦効果ありと、まあ剣術なんて使えないから絶賛ピンチなんですけど
「剣術?ってもんはないけど対人力なら誰にも負けねぇぜ?戦うか?」
「ほーん。貴様、Bランクの私に恐怖すら持たないとは、度胸だけは認めてやろうでは無いか。模擬戦か?いいだろう。やろうではないか。」
なんか急遽試合が決まったんだけどこんな戦闘狂ばっかなのか?この世界。まあ俺から仕掛けたんだけどさぁ
「自ら恥さらしになりに来たことだけは褒めてあげてやってもいいな。」
「ごめんだけど負ける気しないよ。」
(バモさんに勝とうとか前代未聞のバカだな。)
(流石に調子乗りすぎでしょ。まあバモさんが分からせてくれるでしょ。)
「では始めようではないか」
この言葉の合図で試合が始まった。
---
もちろん訓練場ということもあり、対人スペースがあるのでそこで行っている。お互い剣を構えているが(俺はバモの見よう見真似)ここで思うところがあってだな。
なんか相手の剣めっちゃカッコイイんですけど。それに比べて俺の剣、、ただの鉄剣、、なんかムカついてきたな。でもあの鍛冶屋のおっちゃんも憎めないんだよな、、この怒りどこにぶつければ、、って目の前にいるじゃん原因が。
俺はその小さな怒りに身を任せ、相手の剣に向かって一振した。
「ふっ、なんて甘い攻撃。隙だらけではないか。」
それはそうだ。剣術なんて習ったことない俺の動きなんて隙だらけでしかない。
だ が な
力だけはあるんだよっ!!
バキっ、、、
「なっ、、、、」
俺の一振、それを剣で抑えたバモは次の攻撃を考えて動こうとしていた。普通ならそれでいい。
普 通 な ら
「私の剣がぁぁぁぁあ!!!!!!」
そう。折れたのだ。
「あ、、、そ、そんなつもりはなかったんだ。いや、羨ましいとは思ったけど、折るつもりはなかったんすよ、、あの、ごめんなさい」
やっべえことしたわ。
(あのバモさんが負けただと?)
(しかも剣を折った?)
(一体何者なんだあの人は)
あぁもう逃げるわこんな場所っ!!




