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蓮華草  作者: 山猫
第一章 世界の流れ
82/91

82・三つ子ちゃん

「いや、まぁそれは・・・色々とたまたま手に入っただけで・・・」


「はぁ・・・まぁそうでしょうね。ふふ、アナタみたいな冴えない人間がそう簡単に手に入れられる秘宝でもないわ。どうせ運が良かっただけでしょう。・・・でもどっちにしろ原始の涙が三つ必要だと判断したんでしょうから、それはアナタのものよ。大事に使いなさい」


いちいち言う事が辛辣だがジールも既にそれに慣れたのか、あんまり気にしてはない様子だ。それよりこんな秘宝中の秘宝を三つも貰っていいのか?そっちの方が気掛かりだ

だがセドリアーナの言う通り、原始の涙がそう判断したのだ。ならば素直に受け取っておくべきだろう


「分かった・・・有難く貰っておく事にするよ」


ジールはそう言うと手にしている原始の涙の欠片を含め下に落ちたままの欠片ごと空間収納にしまい込んだ、いや入れようとした・・・が入らない


「あれ?どうなってんだ?すり抜けちまうな・・・そんな筈は無いんだが」


何度やってみても秘宝が空間収納を通り抜けてしまう。自分が意識した物は生きている者以外どんな大きさでもある程度収納できる筈だ。その収納量は本人の魔力量に比例はするが、ジールの魔力量なら大抵の物は入らない筈はない。ましてや原始の涙の欠片は三つ合わせてもジールの掌に収まる程度、入らない訳が無いのだ

だがその光景を見てセドリアーナは可笑しそうにフフッと笑っていた


「ダメよ、そんな所に入れようとしちゃ。原始の涙は欠片と言えど生きてるんだから。それに心配しなくても、それはアナタ自身に与えられた欠片だから無くしたりしないわ。ほら、アナタから出てきたのだから戻したければアナタの中に戻るわよ」


「・・・そうなのか?」


原始の涙の欠片が生きている事に驚きだが意思はあるのだろうか?そう疑問に思うが考えたところでジールに分かるわけがない。だがセドリアーナが言うのならそうなのだろう

ジールは言われた通りに原始の涙の欠片を手に取り目を瞑って戻るように念じた


すると原始の涙の欠片はそれぞれが淡い光を放ちながらジールの体の中へスゥっと入って行った


「・・・これでいいのか?なぁ、これって出したい時はまた出てこい!って思ったら出てくるのか?」


入って行った箇所をスリスリと撫でるジール。自分の中に秘宝が入っているのは何か不思議な感覚だ


「それでも出てくるわ。それに言ったでしょ?ふふ、その欠片は生きてるの。自分が必要だと思った時は自分達から出てくるわよ?」


そんなもんなのか、そう思うジール。だが生きている欠片が三つも自分の中に入っている・・・三つ子を腹の中に抱えているようなもんだな、そう思いながら気持ち悪い顔でニヤリと笑うジール

その顔を見たセドリアーナはここ一番と言うぐらい引いた顔をしていた


「・・・やだ、アナタ今本当に気持ち悪い顔していたわ。元々気持ち悪いんだからそれ以上気持ち悪い顔にならないでくれるかしら?その顔だけでここの聖域が汚れてしまうわ・・・全く用が終わったのならとっとと帰ってくれない?これ以上アナタの顔面を見ていたら私の目も汚れてしまいそうよ」


そこまで言う?

だがジールの顔が気持ち悪い顔になっていたのは紛れもない事実な訳で、そこまで言われるのは仕方がない事なのかもしれない。特に毒舌がベーシックスペックのセドリアーナにとっては少し控えた表現とも言える


「・・・あぁ何かスイマセン。もう帰りますんで勘弁してください」


そこは素直に謝るジール。それにジール自身ある程度耐性が付いたとはいえ、セドリアーナの毒舌をこれ以上聞いていたくないみたいだ

綺麗な薔薇には棘がある。ククルの師匠なだけある。だが少し棘が多すぎじゃないか?

そう思いながら帰ろうとするジールだが・・・


「なぁ・・・帰りってどうやって帰るんだ?」


確かに、来た時はただククルに蹴飛ばされて落ちて来ただけだが、帰りはどうやって帰るのだろう?

あの空間は自分が壊してしまったし、同じ道を取って帰る訳にはいかないだろう


「あぁそうね、アナタは永劫結界を壊して通ってきたのよね・・・全くアレを直すのにどのぐらいの手間がかかると・・・まぁいいわ。帰りは私が送ってあげるジュリアちゃんの所から来たんでしょ?そこに送ってあげるからちゃんとお礼言っておきなさいよ」


そう言いながら手にしている金色の弦楽器をジールの方へ向ける


「おいおい、送るって言ったってどうやって・・・って・・・うわぁあああ!?気持ち悪っ!どうなってんだあぁぁぁぁぁ・・・・」


セドリアーナが弦楽器をジールに向けた途端にその周辺の空間がグニャリと捻じ曲がりジールの体ごと取り込んでいった


いきなり起こった事象に逆らおうとするジールだがその叫びも空しくあっという間にその聖域から消え去っていた。ジールの叫び声が聞こえなくなった頃、聖域はいつもの穏やかで美しい空間が戻っていた


「全く・・・賑やかな人間だったわ。でも、ふふ、見た目はともかくあの魔力は美しかったわ。ジールね・・・名前は覚えておいてあげようかしら」


聖域でポツリとつぶやいたセドリアーナ

ちょっとツンデレ属性なのもククルにそっくりなのであった

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