77・ご褒美回
「キャア!」
二人を抱えたまま倒れてしまったが少女にけがをさせる訳にはいかない、と自分の身を挺して何とか自分の体を地面と二人の間に滑り込ませた
「ぐぅっ!・・・すまねぇ、リン大丈夫か?」
「う、うん。何とか大丈夫みたい」
そのお陰か、何とか二人を怪我させずに済んだみたいだ。だが身体を張って二人を守った為ガルスの体が負傷してしまう、が少女とついでにエリーが自分の腕の中に収まっている、これはご褒美だ。頑張った自分へのご褒美なのだ。つまり遠慮なく堪能して言いわけなのだ
思いもよらないご褒美シチュエーションに顔がとんでもない事になってきたガルス。だが今はそんな事を考えている場合ではない。欲望と葛藤、本能と現実。己の願望に身を任せている時間などない
今すぐにでもダノンと魔王の戦闘の余波が飛んでくるはずだ
ガルスは少女の体温を全身に感じていたいという変態本能に打ち勝ち、満身創痍の全身に鞭を打ち震える両足に力を入れ二人を守る為、自分の身を盾にして二人に覆いかぶさった
全身がボロボロになろうとも、全身が切り刻まれようと、そしてこの身が朽ちてしまっても、守るべきものは何としても・・・それがロリコン紳士と呼ばれた俺の往く道だ
「さぁ・・・!悪くない!この状況!この局面!命を懸けるに値する!」
余波が飛んでくるであろう方向へ自らのケツを突き出し二人の盾となる。今度だけは只では済まないだろう。それも最近のお化けカボチャになった比では無いはずだ。その時が来ればオケツの原型は残っていないだろう、だがそれでいい、それでいいのだ
「俺のロリコン道に一片の悔い無ーーーし!!」
迫りくるであろう痛みに激痛にオケツの終わりに、空を仰ぎ生の咆哮を口から吐き出した
ロリコンガルス ここに有り
・・・
「・・・あれ?」
痛みが来ない
と言うより、今まで聞こえていた激しい戦闘音が聞こえない。衝撃波も襲ってこないし瓦礫も飛んでこない。突き出していたオケツも何の影響も受けていない
不思議に思ったガルスは空を見上げていた首を元に戻し戦闘が行われていた筈の方向へ視線を送った
「どうなってん・・・うおぁ!?」
その瞬間
ガルスの頭上を何か大きな黒い塊がとんでもないスピードで通り過ぎた。あまりの速さにガルスはソレが何か視認する事が出来ず、ただ黒い何かが通り過ぎた、その認識しか出来なかった
そうガルスがそう思った瞬間、それが地面を抉りながらまだ残っていた民家に突っ込んで行った
ドッゴォオオオン
「な、何だぁ今のは?」
「ちょ、ちょっとガルスさん・・・どいて。重いし、あと何か臭いし」
リンとエリーに覆いかぶさっていた中年ロリコン、しかも衣服はドロドロで血まみれ汗まみれ。それは臭いだろう、加齢臭が可愛く思えるほど臭いだろう。だがガルスにとってその言葉は蔑む言葉ではない、むしろご褒美だ。少女に言われる言葉は何だってご褒美になりえるのだ
「お、おう。済まねぇ・・・だが今のは何だったんだ?それより戦闘はどうなったんだ?」
今の状況をキープしたいのは山々だが、自分はあくまでも紳士、それを忘れてはならない。少女が嫌がる事はいつだって決してやってはならないのだ
後ろ髪を引かれながらも渋々と二人の側から離れるガルス。そして足が上手く言う事を聞かない為、膝立ちのまま戦闘が行われていた方へと振り向いた
「・・・何て光景だよ」
視線の先には元々ここが平和な村であった事が信じられないぐらい壊滅した光景
素朴ながら平穏に満ちていた家々は面影も無く無残にも崩れ落ち、緑豊かにあふれていた大地や森の木々達は至る所に大きな穴が開き美しく自然に溢れていた平穏な村は破壊しつくされていた。そしてそれ等が戦闘の激しさを物語っていてもあった
そんな村の光景に怒りを覚え拳をギュッと握り締めるガルスだが、そう言えば、と
「ダノン爺はどうなったんだ?・・・魔王は?戦いはどうなったんだ?」
もしかして、さっき頭上を通って行った黒い塊は
ハッとしてガルスは轟音を立てて民家に突っ込んで行った方へ振り向いた
「・・・」
だがそれは瓦礫に埋もれていてここからでは視認する事が出来ない。駆け寄ってそれがダノンなのかどうか確認しようにも足が思うように動かないのでそれもままならない
どうするか、リンに頼むか?だがその間にリンに何かあっては困る、まだ安全かどうかは分かっていないし、あそこに居るのがダノン爺かどうかも分かっていない・・・エリーもこの様だ、まだこの二人の側を離れない方がいいだろう
そう思考を巡らしていたガルス、そこへ遥か頭上から低く重量を感じさせるような声が響いた
「くっ、がはっ・・・思いの外、手こずったか・・・だがもう立てまい。人間にしては中々楽しませて貰ったぞ」




