70・ブラックシャイン is アクティブ
「エリーよ。これはちとマズイかもしれん。ジールもおらん事じゃしリンを連れて逃げた方がいいかもしれんの。ついでにリンの言う通りそこに埋まっているガルスも連れて行ってくれんかの」
受け止めた二人をそっと地面に下し目の前に迫ってくる魔物達を見てそう告げるダノン
スポン草をゴクンと飲み込み全身に力を漲らせる。心なしかフンドシがなんとなく盛り上がってきている気がするがそこは触れないでおこう。きっと力を入れる箇所を間違えているだけなのだから
そんな頼りになるイケジジイのダノンだが迫る魔物達の数を見て背中に冷や汗が垂れる
大小数多くの魔物達、瞳を真っ赤に光らせ口からは涎を垂れ流している。よく見ればその様子が少し尋常ではない
「何じゃ・・・操られておるのか?それもよく見れば腐敗している奴もおるようじゃな」
そもそも魔物達は同種以外で群れるような種族ではない。それに好き好んで人里を襲ったりもしないし、自分たちの縄張りから出るような事もしない
わざわざリスクを冒して人と敵対せず平穏に仲間たちと過ごしていくような穏やかな種族である。勿論それを脅かすものに対しては己を仲間たちを守るために立ち上がるだろう
それはどの種族の魔物達も共通の事であった
それが種族問わず群れを成して人里襲っているのだ。その異常さは言うまでもなく、それを思考するに辺り必然的に一つの結論に導かれていった
「・・・操っておる親玉がおるのか。厄介じゃの、それにアンデットもおるようじゃからネクロマンシーの行使か・・・これはワシ一人じゃちとキツイの。ガルスがおれば少しは何とかなったかもしれんが・・・」
そう言いチラッと氷塊の下からガルスを無理矢理引っ張り出している二人に目を移す
ズルズルと出てくる肉塊はホントに生きているのか心配になるほど、これがジールなら大丈夫なのだろうが・・・
「全くジールと言いガルスと言いタイミングが悪いわい!ふんぬっ!まぁやれるだけやってみるかの!」
気合を入れ全身の筋肉を隆起させるダノン。それと同時に白のタンクトップは弾け飛びフンドシがモリモリっと限界まで隆起してくる。フンドシが弾け飛ばなかった事に対しては丈夫に創ってくれた製作者に感謝しておこう
「はぁぁぁ~・・・よしっ!ワシの力を、スポン草の力を見してくれようぞ!」
一つ大きく息を吐き出し全身から湯気を出すほど力を溜めこんだダノンはその勢いのまま目前に迫った魔物の群れに飛び込んだ
「ぬぅりゃあ!ふんぬぅ!」
一撃
拳を固く握り締めた一撃で一番先頭に居た猪のような魔物が頭部とオサラバして吹き飛んだ
それに続きその近くに居た犬型の魔物が数匹まとめて肉片を撒き散らし飛び散る
ダノンが繰り出す拳骨はその速さと強大さ故、拳周辺に風の衝撃波を生み出していた
本人は魔法を扱う程魔力量が無い故、ただ単純に力だけで行使している事になる。つまり、その無駄に隆起している筋肉は見せかけだけでは無いという事だ
「ふぁっふぁっふぁ!こんなものか!こんなものかのう!久しぶりに血が滾るわい!この村を襲ったんじゃ!それ相応の対価を払って逝ってもらおうかのう!」
何だか字が違う気がするが、ダノンが拳を振りかざす度に飛び散っていく魔物達を見れば間違ってないのかもしれない
「ダ、ダノンじい・・・凄い」
そんな光景を目の当たりにしたリンはガルスを引っ張っていた手が止まって見入ってしまう。いつもはただのスポン草を食べている黒光り禿げ爺なのだ。そしてそれしか見た事が無いリンにとっては衝撃だったのだろう、所謂ギャップ萌えってやつだ
「リン!ダノンさんは大丈夫だから!早くガルスさんを引き摺り出して!私は回復魔法を掛けてみるから!」
いやアンタが埋めたんだろう、そう思うリンだが決して口にしない、出来ない。その理由は当然、自分も埋まりたくないからである




