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蓮華草  作者: 山猫
第一章 世界の流れ
64/92

64・ねるねるねるね

「あ、そうそう。言い忘れたけど、アナタの場合少し人より長く生きてきたみたいだから少し時間がかかるかもしれないわね。原始の涙はこの海そのもの、生命の始まりその全て。アナタ自身を観る事になるの。・・・もし自我が保てなくなったら溶けて消えちゃうかもしれないわよ・・・ってもう聞こえてないかしら?ふふ、さてどうなるかしらね」


ジールが入った扉に向かって言葉を掛けるセドリアーナ

その内容はかなり重要な気がするが、当のジールにはもはや届いていないのであった


ーーーーー



ここは・・・何だ?

どうなってんだ

俺の体はどうなってる?


現状が全く分からないままセドリアーナに金色の扉の中に放り込まれた

その瞬間、視界は真っ白に染まり体の感覚を奪われる


慌てて入ってきた金色の扉の方を振り返ってみる・・・が入ってきたはずの入り口は既に存在していなかった

いや、振り返ったではない


振り返れていたのか、俺は

身体の感覚が無い 右腕を上げてみる 動いているのかも分からない

そもそも視界が真っ白だ 自分の腕すら見えない いや、目を開けているのかも分からない


己の魔力も使おうとしても使えない そもそもまりょくってどうやって使うんだっけか

身体を動かしたい からだってどう動かすんだっけ


体全身が溶けていくような 俺が オレじゃなくなるみたいだ


ボンヤリとその感覚を受け入れていく 受け入れていくしか出来ない

動けない 動かない

少しずつ感覚が奪われて 意識はあるが 考える事が出来なくなる


思考 考察 勘案

それ以前 自分を認識出来なくなりそうだ


俺は オレは


・・・


おれは だれだっけ


おれは なんで ここに いるんだ


白く染まる霧みたいな空間の中を漂う

意識も体もそれに染まり 同調していく 溶けて合わさる


体が 身体が 溶ける

思考が 俺が オレが 


溶ける 


オレは・・・


・・・


考える意識も無くなり 漂う 

時間も 概念も 細胞も ただ 漂う


・・・


・・・


しばらく漂った後 視界の先の方に ぼんやりと白以外の景色が見える


アレは・・・何だ?


意識も溶けてしまった霧の中から己が答えた


アレは・・・

誰だ


・・・


あぁそうか


アレは おれだ


意識が映す景色に見えたのは溶けてしまったはずの自分自身


そしてその側にいるのは


あれは あの女性は 誰だ

見た事がある


・・・


誰だ


そうだ アレはエリーだ

確か 修道院の シスターで


あれ?そうだっけ?


いや エリーはオレの俺の・・・



ジールがそう思った瞬間、ぼんやりと映し出されていた一つの景色から様々な絵画のような景色が一気に溢れ出した

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