58・お化けカボチャのその後Ⅰ
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一方、その頃の村では
「ママぁ、パパはいつ帰ってくるの?」
新しく覚えたばかりの中級魔法の練習をしているリンと、レイカーから借りた手書きの料理本を片手にそれを見学しているエリーが居た
相変わらず村は平和なようでジールが人魚姫の涙を求めて出て行った時からも平穏な時間が流れていた
敢えて言うならジールが居ない分村は静か、と言ったところか
「あら?どうしたのリン?いつもはクソ親父って呼んでいるのに、やっぱり居なかったら寂しかったりするのかしら」
「なっ!?べ、別にそんなんじゃないもん!ただ・・・そう!ただ新しく覚えた魔法の練習台になって欲しいだけだもん!」
「ふふ、そうなんだ~へえ~」
だが刺激を求める年頃のリンちゃんからすれば少々退屈なようで、騒がしくも変態だが相手をしてくれるジールが居た方が彼女にとっては有益な時間を過ごせるみたいだ
そんなジールを待ち望んでいるリンを微笑みながらもからかいたくなるエリーであった
「な、何だよぅ!もぅ!ママなんて知らない!」
「あらあら、ちょっとからかいすぎちゃったかしらね」
顔を真っ赤にしてプイっとそっぽを向いてしまったリン
練習していた中級魔法で作った氷魔法のオブジェが魔力を込めるのを止めてしまった為霧散してしまう。それを見て肩を竦めやりすぎちゃったと少し反省をしているエリー。年頃のレディの心情は複雑なのだ
「ふんっだ!・・・あれ?あれは・・・」
だがリンがそっぽを向いたちょうど視線の先にヒョコヒョコと可笑しな歩き方をしている男が居た
普段なら気にならないが余りにも歩き方に特徴があった為リンの目に留まってしまう
「お~い、ガルスさん!何してるの?と言うか何か歩き方が変だけど怪我でもしたの?」
そこに居たのは少しオケツの腫れが引いて外を歩けるようになった神の手を持つ鍛冶師、ガルスが歩いていた
ただ少し腫れが引いたと言ってもまだパンパンに腫れあがっているのは変わりなく、なるべくオケツに刺激を与えずそ~っと歩いていた為、パッと見た感じ水鳥が地面を歩くようなヒョコヒョコ歩きになってしまっていた
「おう!リンじゃないか!あ~まぁ怪我と言ったら怪我みたいなもんだけどな・・・それよりジールはまだ帰ってきていないのか?」
近づいてきたリンに対してお尻をスリスリと撫でながら問いかけるガルス。傍から見たらどう見てもオケツをパンパンに腫らして少女に詰め寄っていく変態オヤジにしか見えない
だがこの村ではそれも見慣れた光景で、さらにこの村では女性の方が強いという認識があるのも必然みたいだ。それ故誰も心配していないのだ
心配があるとすればそれこそガルスのオケツの腫れ具合である。もう元に戻らないのではないかと村の男衆はブルっと身震いしていた・・・何故なら明日は我が身かもしれないからだ
閑話休題
「パパぁ?う~ん、結構遠くまで行ってるみたいだからしばらく戻って来ないんじゃないかなぁ・・・ってガルスさんは知ってるじゃない!聞いたわよガルスさん!奥さんにプレゼントするんだって!?ガルスさんもやるじゃない、人魚姫の涙を加工してサプライズでプレゼントしようなんて・・・ロマンチックだわ。大丈夫!奥さんには黙っててあげるから!」
目をキラキラと輝かせ興奮して声を張り上げるリン。内緒にするも何もそんな大声で話していたらガルスの奥さんの耳にも入りそうなものだが・・・当の本人は全く気付いていない
それを聞いたガルスは思わず顔を引くつかせてしまう
「え?は?いや、お、おう。い、いつも世話になってるからな。たまには恩返しでもしなきゃな~・・・な、なんてな・・・は、ははは・・・」
(あんのバカは何を言ってくれてんだ!もうちっとマシな言い訳は出来なかったのかよ!・・・これで俺が嫁さんに何もプレゼントしなかったら・・・あ~考えるだけでも恐ろしい)
自分の行く末を考えると冷や汗と身震いが止まらなくなるのであった




