50・扉の向こうは・・・
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「しっかし、ここにこんな所があったとはねぇ」
場所は変わり、ジール達は海底城の中をしばらく歩いた後、その奥深くにある一つの部屋の前に来ていた
その部屋の扉は煌びやかな水晶宮の内装とは打って変わって物々しい重厚さを醸し出している
扉の正面の装飾におそらく先程話に出ていたセドリアーナらしき人物が中心に描かれており、その周りには様々な海の生物や紋章と言ったレリーフが描かれていた
その荘厳な雰囲気により、さらに扉の奥から流れ出る強いオーラのような圧力にジールは少し圧倒されていた
「何をビビッてやがるでありますか。オメェが行くっつったんですからね」
ビビり散らかしているジールを見てククルはニヤリと悪い笑みを浮かべていた
「べ、別にビビッている訳じゃねぇよ!ただ、本当に神様いるのかなぁって思ってただけだし!」
苦しい
苦しい言い訳にしか聞こえない
だがそれ程の圧迫感を扉の向こうから感じるのも事実だ
そんなジールを見てジュリアがそっとジールの肩に手を掛けて耳元で囁く
「ふぅ、ジールちゃぁん。怖いのならワタシに抱き着いてもいいのよぉん」
「うわぉう!耳に息を掛けるな!気持ちわりぃ!」
これは確実にビビっている
なんなら少しチビっている
「ジール様、何か勘違いしてやがるみてぇですが、この扉の先にはまだセドリアーナ様は居ねぇですよ」
・・・
「それ、先に言ってくれる?」
ビビッて損したわ、いや、ビビッてねぇけど
そう思うジールだが、その後ろでジュリアが「ジールちゃん・・・可愛い」と言いながらハァハァ言ってクネクネしているのでおそらく、きっと、ビビっていたのだ
「ほら、開けますでやがりますよ」
相変わらず悪い笑みを浮かべたままのククルは扉に付いている黄金の取っ手に手を掛けそれをゆっくりと引いた
そして少しずつ開け放たれていく扉の隙間から先程ジールが感じていた圧迫感のあるオーラが一気に出てくる
(くっ!?これ、本当に居ないっていうのかよ!?何てオーラだ!)
そのオーラを全身に浴びながらも何とか平静を装っているジールだが、その頬には冷や汗が流れ落ちていた
「・・・」
数秒
ククルが扉を開け放つまでの時間、だが僅かな時間ながら一気に精神力を削られた。そんな感覚
そして耐えたその視線の先、部屋の中には一つの台座が佇んでいた
「ほら、入るでやがりますよ」
ククルに促され完全に開け放たれた部屋の中に足を踏み入れるジール
一歩足を踏み入れグルっと部屋の中を見渡した
天井が高い、それとエンタシス調に見える柱が部屋全体を支えているのか、地面から天井までいくつか伸びている。だが後は最初に目に入った台座しかない
つまり部屋の中にあるのはその台座だけ
だがその台座が異質を放っていた
地面より数段高く設置されているその台座
遠目から見ても魔力が溢れているのかバチバチと紫色に放電しているのが見える
そして部屋に入る前から感じていたオーラがその台座から出ている
「おい・・・アレ、大丈夫なのか?」
歴戦のハンターであるジールでさえ心配になるような高濃度の魔力の奔流
それが台座の中心に渦巻いていた
あまりの異質さにジールが心配そうにククルに話し掛けるが・・・
「大丈夫も何もあの中を通らないとセドリアーナ様の所へは行けねぇでやがりますよ」
「・・・はい?」




