49・ククルちゃん、懐柔される
「まさか・・・本物なのか?」
ジールがそう思うのも無理はない
何故なら神話やお伽噺などの神々の話はあくまでも本の中でのお話
実在するなど聞いたことも無ければ、勿論見たことも無い
「当たり前でやがるでしょう。アタシがこのトライデントを持っているのもその一つの証拠でしょうが。そもそもセドリアーナ様を始め、神々が居なければこの世界が創られていないし成り立っている訳無いでやがります」
「・・・」
まさかの事実にジールも開いた口が塞がらない
まさか神々が実在するとは・・・
しかも自分が欲しているものをその一柱が持っているとなると・・・
と、そこでジールはふと疑問に思う
「ん?待てよ、って事はさっきタルタロスが言ってたけど・・・そのセドリアーナってのは人魚姫なのか?」
「様を付けろカス。・・・まぁアタシ達人魚の始祖ってのは間違ってねぇです。ただあの方々は決まった姿をしている訳じゃなく、特にセドリアーナ様は・・・何て言うか・・・人魚の姿が気に入っているんだと思うでやがります」
「ちょっとジールちゃん、ジュリアって呼んで?」
何だか煮え切らない言い回しをするククル
それに空気を読まないジュリア
だがこのククルの言い回しにジールの勘がピンと冴える
(ははぁ、分かったぞ。確かにこの筋肉人魚とツンデレ人魚と言い・・・確かに人魚は癖のある奴が多いからな。なるほど、そのセドリアーナってのもかなり癖の強い奴なんだな)
そう思うジール、だが口には出さない
何たって、また、きっと、絶対、確実に、ククルのトライデントに刺されるから
だがこのジールの勘は遠からず、当たることになる
「んで、そのセドリアーナ様ってのに会いに行くにはどうすればいいんだ?」
ククルが持つトライデントを見てブルっと身震いをした後ジールは尋ねた
その問いに対し明らかにめんどくさそうに、そして不快な顔をしながらククルは舌打ちをした
「だからアタシはオメェが行く事を認めた訳じゃ」
「ククルちゃん?いいじゃないん、行ってみるだけなら?ジールちゃんでも辿り着けるか分からないし、それに辿り着けたとしても始祖様がお会いになるかどうかは分からないわよん?」
やはりどうにもククルはジールには行って欲しくないみたいだ。余程ジールにセドリアーナと会って欲しくないみたいである
が、それをジュリアが優しく諭す
「それにさっきも言ったけどん。ジールちゃんは変なことに使おうとしている訳じゃ無いんだから。きっと大丈夫よん」
「だけど・・・分かりました。タルタロス様がそこまで言うなら・・・辿り着けずにミンチになって死んじまえばいいんでやがりますよ」
何だか物騒なセリフが見え隠れしているが、いやそれがククルの本心なのかもしれない
ジュリアの説得によりようやくククルは渋々ながらも首を縦に振った
「ミンチって・・・おいおい、何か物騒だな。まぁ案内してくれるんなら良かったよ。さっそくで悪いけど頼んでいいか?」
ようやく原始の涙を採りに行けると思い腰を上げるジール
それを見たククルも、しょうがねぇでやがりますか、と一言呟き尾ひれをなびかせながら
「さっさと付いて来いカス」
グサリと棘を吐き先導し始めた




