48・海の神
「おいククルちゃん・・・今の話は本当なのか?」
「ちゃん付けで呼ぶなっつってんだろ、このド変態クズヤロー」
ズーン
体育座りだ
言葉の槍に刺さったジールは部屋の隅っこで体育座りだ
さっきは物理的に槍に刺さったけど今度は精神的、スピリチュアルアタックだ
「もう、ククルちゃん?ちゃんと説明してあげて?」
そんなジールを見かねてか、ジュリアは助け舟を出した
「ちっ・・・タルタロス様に免じて話だけはしてやがります。だけどオメェが原始の涙を採りに行くことを認めた訳じゃねぇですから。ほら、そんな端っこにいねぇでこっちに来やがれカスでやがります」
「ほらほら、ジールちゃん。こっちに来ないと」
しぶしぶと言ったところか
舌打ちをしながらククルはジールに向き直り説明を始めた
そんな言いたい放題言われたジールもジュリアに引き摺られながらククルの近くに座り直した
「いいですかぃ?まず原始の涙ってのはさっきタルタロス様が言ったようにこの世界が出来た時に海の女神様が落とした涙が結晶化してそれが宝玉の形になったものでやがります。そんでその力があるからアタシ達、人魚が住んでいるこの未開の海域も維持できているんですよねぇ。何でかっつーと、人魚姫の涙が二つで一つ、相補関係にあるのに対して原始の涙はそれ一つで完成されてるんでやがります」
ふむふむ、と今度は真面目に聞いているジール
何故なら寝ようもんならすぐさま串刺しの刑に処されるのは火を見るよりも明らかだからか
そしてククルは言葉を続ける
「そんで一番重要なのが原始の涙の力ってのが保有者の意思を汲み取るっつーか、分かりやすく言えば世界の次元や空間、そして時間を管理する力があるって事。まぁ世界全体までは行き届かないけどオメェが願っている転移の力を媒体にする為の依り代にはもってこいの力ではないんですかね。特に個人を限定して転移するのであれば、世界全体を見るより遥かに消費が抑えられるからそれこそどこに居ようがそれが可能になるでやがるでしょうよ」
一息
「その原始の涙の今の保有者ってのが、アタシ達人魚族の始祖であり絶対なる母『セドリアーナ・マリス・アムピトリヌス』様でやがります」
「・・・え?何て?今誰かが持ってるのか?」
何だか聞いたことがあるような無いような名前を聞き
そして尚且つ原始の涙を誰かが保有しているという事実
そんなジールの疑問もククルはあっさりと答える。それもジールすら知っていない内容をスラスラと
「何を言ってるのでやがりますか?当たり前でしょう、セドリアーナ様以外、誰が持ってるって言うんですかい?オメェみたいなド変態クズヤローでも聞いたことがあるんじゃないですかい?海の神様の名前ぐらい知っているやがるでしょう」
そうか、何か聞いたことがある名前だと思った
ジールがそう思うのも当たり前か、それこそ神話やお伽噺の世界
だが当たり前の様にこの世界の人々は耳にしている名前
創生の神々の名前の一柱、それも空、大地そして海。全知全能の神から生まれしこの世界を管理する三大神の一柱
海の神 セドリアーナ・マリス・アムピトリヌス




