47・睡眠魔法
「ジールちゃんが考えている様に、転移魔法の一番の問題点は転移したその先に元々あった空間はどうなるのか?って事だと思うの。ゲートは元々その移動先の空間を固定、分かりやすく言えば二つを結ぶためにあらかじめそこの空間を空けておくって言えばいいのかしらん・・・つまりそれが転移魔法になると移動先にあった元々の空間を押しのけるのか、それとも丸っと空間ごと入れ替えるのか。もし全部入れ替えるとなるとジールちゃんが体感したように空間が切り取られることになるから少しでも座標を間違えると下手すれば体が引き裂かれてしまうことになってしまうし、その行き先が距離を問わずどんな所でも対象先に移動するとなればそれこそ膨大な魔力が必要だしそこを毎回特定するとなれば・・・」
「グ~・・・」
寝た
寝ている。だって話が長いのだもの
気持ちは分からなくもない
ククルの美味しい料理をお腹いっぱい食べたジールはおねんねの時間だ
だがそれを許さない激おこのククルちゃん
グサッ
ドスドスドスドス
「ぐぁあ!?な、なんぞ!?ちょっ!ククルちゃん!?い、痛いから!刺さってるから!物凄い刺さってるから!」
「オメェが寝てるからだろでやがります。やっぱりコイツには原始の涙を渡すわけにはいかねぇです」
もう穴だらけ
色んなとこにトライデントが刺さりまくったジール
以前ククルをからかった時のデジャブ。だが以前と同様、今回も自業自得である
「もう、ジールちゃん?ちゃんと聞いてよねん?つまり、それを可能にするためにあるのがジールちゃんが持っているブルーメタルトパーズと神鱗って訳ねん。対象者もしくは対象物に対して絶対的な盾となるイージスで周辺の空間ごと固定し、そして神鱗によって魔力を無限に蓄積出来るからそこも問題なし。だから問題があるとすればさっきから言っているけど、人魚姫の涙じゃ強力すぎるその二つの媒体になるには耐えられないのん。そこで原始の涙の登場よん」
「つ、つまり、その原始の涙ってのがあればその二つの力に耐えられるって事なのか?」
「タルタロス様」
「ククルちゃん、聞いて?ジールちゃんは何もそれでこの海全体を支配しようとか、世界を滅ぼそうとか考えている訳じゃないのん。きっとそれを加工して守りたい人に渡したいだけと思うのん。ね、ジールちゃん?」
ジュリアはウフッとウインクをしてジールに目配せをする
気持ち悪い、がジールの思惑の的を得ていた
風通しが少しだけ良くなった身体を治しながらジールは顔を背けた
「ふ、ふん。まぁそんなとこだよ!」
「あら?照れちゃって可愛い。それでん?誰に渡すのん?あ、もしかしてとうとう私に」「それでよ!その原始の涙ってのはどんな力があるんだ?」「ちっ」
思惑がバレて恥ずかしやらジュリアが鬱陶しいやら
ジールは話を本筋に戻す
ククルは相変わらず納得いっていない様子だが、ジュリアの言っていることも一考あるみたいで仏頂面をしていながらも黙っていた
「いい、ジールちゃん?原始の涙はね、この海そのもの。この世界が始まった時に出来たとされる母なる海、その海の女神様が落としたと言われている涙の事よん。その力は人魚姫の涙の完全上位互換、いえ上位互換と言うよりは全く別物かもしれないわねん」
「つまり、次元管理の力を遥かに超えているって事か?」
「う~ん、私も実際実物を見た事があるわけじゃないから詳しくは分からないけどん・・・人魚の始祖様から聞いたことがあるのは、少なくともこの海全体を管理する能力があるみたいねん。まぁ、詳しくはそこに居るククルちゃんに聞いてみてん?だって始祖様の御付きだったからねん。ね、ククルちゃん?」
「え?」
「・・・」
まさかのカミングアウト




