46・ククル、激おこ
「原始の涙ぁ?何だそりゃ?聞いたことねぇぞ」
初めて聞く単語
それもジールすら聞いたことないもの
「タルタロス様、そいつぁ言っちまってもいいんですか?」
ジュリアの後ろにトライデントを振り下ろした後から静かに佇んでいたククルが口を開く
「ジュリアよ、ジュ・リ・ア。ん~悩んだんだけどね、まぁジールちゃんになら教えてあげてもいいかなと。それにジールちゃんの考えている使い道なら変な事にはならないだろうし・・・でも手に入れられるかどうかは分からないけどね」
クルリとククルの方を振り向きその質問に答える。が、それを聞いてもククルの顔は渋いままだ
余程ジュリアの言った事が納得いってないのだろう
「おいおい、何か話が進んでるけどよ、だから何なんだよ?その原始の涙ってのは?」
自分の事を差し置き会話が進んでいるのが気に入らない
だがそのジールをキッと睨み、鋭い視線と言葉の槍でぶった切るククルちゃん
「ジール様、オメェは黙ってやがって下さい。タルタロス様、私は納得いってねぇです」
「だからジュリアよ、もぅククルちゃんも頑固ねぇ。大丈夫よ、ジールちゃんなら」
「それが分かんねぇです。こんな変態クズヤローに扱えるわけがねぇです」
「・・・」
ククルの辛辣な言葉に突っ込む気が起きなくなったジール
よし、黙っていよう。そうすればその内説明してるれるはずだ
そう思ったジールはククルが持っているトライデントにビクビクしながら傍観を決め込むことにした
「もう~ククルちゃん相変わらずねぇ・・・ジールちゃん?アナタが考えていた事って人魚姫の涙を使った『転移魔法』の事でしょ?」
いきなり名前を呼ばれてビクッとなるジール
傍観を決め込む事にした割には早いご指名だった
「お、おう。よく分かったな・・・まぁ人魚姫の涙の次元管理と他の二つがありゃあ今回はイケると思ってな」
以前は失敗してしまった
前回ジュリアから貰った人魚姫の涙を使ったジールの魔法の実験
それは転移魔法を可能にするための試みであった。だが、それはジールが考えていた当初より遥かに難解なものだった
まず転移とゲート、何が違うのか?
まずゲートは人魚姫の涙の対になっている一つ一つを繋ぐトンネルのような物
だが転移は対象物を目的先に空間移動させるもの
ジールが試みたのは対になっているそれをどこに置いても移動できるかどうか、そしてそれがどこでも転移できるのか。結果は否、散々な事になってしまった
そもそも移動するための魔力量が圧倒的に足りていなかった。ジールが強引に双方に魔力を込めて飛んでも体が引き千切れて移動してしまったり、また移動先に障害物があれば移動した瞬間、二つがぶつかり合って霧散してしまったりと、ジールでなければとっくにお陀仏であった
これはジュリアが言ったように、その二つが固定されていたり、そしてこの未開の海域のような全体が魔力に満ち足りている場所でなければ不可能な事であった
つまり前回不可能だった事をブルーメタルトパーズと神鱗を用いて補おう、ジールはそう考えたのである




