44・目的
「それで、話を戻すんだけどよ。人魚姫の涙を貰いに来たんだが・・・今はまだあるのかい?」
自らの失態を回想してウンウンと懐かしむジール。だがそろそろ本題に進まねば、あまり遅くなると嫁さんが怖いから
一通りククルの料理を楽しんだ後ジュリアに問いかけた
それに対してジュリアはまだ腫れが引いていないタンコブをスリスリ撫でながら答える
「ねぇジールちゃん、そもそも何で人魚姫の涙が必要なのん?例えジールちゃんと言えど簡単には渡せないわよん?」
それもそのはず、人魚姫の涙はブルーメタルトパーズや神鱗と並ぶ世界の三大秘宝であり、その宝石は人々には持っているだけで巨万の富を得ることが出来るとか何とか色々言われている
が、実際はそうではない。その秘宝の力は今ジールたちが居るこの海底にこそあるのだ
「いや~それはアレだよ、ここに来るまでの転移やら、ここに居たら俺たち人間でも普通に呼吸が出来たり飯が食えたり・・・羨ましいと思ってな、次元管理の力が」
そう、人魚姫の涙の力はそれなのである
ジールが使いこなす空間魔法の上位互換、次元管理
数多の魔法を生み出してきたジールでさえ扱いできず、代わりの媒体を用いてもとうとう実現できなかった
「・・・ジールちゃん、何か隠しているわね?それに前も言ったけどここに来るまでの道は転移じゃないの。あくまでも魔法陣と魔法陣を結ぶゲートのようなものよ?さすがに転移みたいなことは出来ないわ。それこそ人魚姫の涙だけじゃ叶わないもの」
「・・・」
ジュリアの言葉に分かっていると沈黙で答える
「それにジールちゃんも知っての通り、人魚姫の涙は二つで一つ、相補関係にある物よん。それぞれを結ぶ間でしか使えないの。前は実験したいことがあるって言ってたし助けてくれた恩もあったからジールちゃんにあげたけど、どうせアレでしょ?ゲートじゃなく転移が出来るか試したかったんでしょん?確かに理論上は可能だけどん、ここみたいにお互いの距離が近いか、それが固定されていないと難しいと思うの。ジールちゃんはそれを人相手に転移したいのかもしれないけど、そもそもお互いの魔力量が足りる訳ないしそれに」「分かった!分かったから勘弁してくれ!」
女?としての勘か
ジールが考えていた事をズバズバと言い当ててくるジュリア
始めは黙って聞いていたジールだが我慢の限界が来たようで両手でそれを制する
「はぁ・・・分かったよ。俺の負けだ」
深く溜息を付き両手を上げ降参のポーズ
やはり女の勘とは侮りがたし
「ふふ、女を甘く見ちゃだめよん。それで?本当の目的は何なのん?」
ジュリアは唇に手を当て再びクネクネ尾ひれを振り出す
それを視界の端に置き、観念したジールはここに来た経緯を簡単に話し出す
「あ~っと、実はだな・・・ちょっとした事からブルーメタルトパーズと神鱗が手に入ってだな」
「えっ・・・ちょっと待ってもう一回言ってくれる?」
まさかのジールの爆弾発言。思わずタルタロスとしての素が出てしまう
世界三大秘宝を手に入れた?それも既に二つ
つまり人魚姫の涙が手に入れば全部揃う事になる
その事実に筋肉人魚姫のタルタロスは驚きを隠せないでいた




