表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮華草  作者: 山猫
第一章 世界の流れ
37/62

37・ダークマター製造機

「じゃ、じゃあさっそく行ってくるから。エリー様の言う通りなるべく早くかえってくるようにするでございます」


リンの言葉は置いといて、エリーの気が変わらないうちにそそくさと出発の準備をする

と言ってもほとんどの物は常に例の空間収納に入れているため、いつでも出発は出来るようになっている


「あ、ちょっと待って」


すぐにでも出ようと扉に手を掛けたジールの背中にエリーが呼びかける

・・・あんまりいい予感がしなかったジールはギギギと効果音を立てながらゆっくりとエリーの方へと振り返った


しかしその予想とは裏腹に先程までの鬼のような形相とは打って変わって元々の美しい顔立ちに優しい笑顔を浮かべていた

そして


「はい、美味しくできたか保証は出来ないけど。あなたの好きなタルト、作ってみたから途中でお腹が空いたら食べてみて」


そう言いながら淡い色の布で包んだタルトをジールに手渡した


「あ、ああ・・・ありがとう。助かるよ」


普段あまり見ないエリーの様子に戸惑いながらそれを受け取る。しかしそのタルトを受け取ったその顔はとても嬉しそうだった・・・が内心では

(おいおい、またあのタルトを作ったのか?断るわけにもいかないし・・・料理は旨いのに何でタルトだけは毎回壊滅的なダークマターになるのは何でなんだ・・・これは今回は帰って来れないかも分らんね)

「ちなみに!」

「は、はい!」


そんなジールの心の声を知ってか、エリーは一言


「今回はレイカーさんのレシピを参考にして作ったから味は保証するわよ?リンも味見して美味しいって言ってくれたし」


なるほど、リンを毒見に頼んだわけか・・・

チラッとリンの方を見てみるとジールの視線を知ってか知らずか少し苦笑いをしていた


「今回のは本当に美味しかったよ!ママ、私もまだ食べたい!」

(本当は命がけだったけど・・・でも紫じゃなかったしいい匂いしたから)


ジール同様、心の声が見え隠れしていたがそれを言わないのもレディの嗜みと言えるだろう

だがタルトが美味しかったのは本当みたいだ


「はいはい、また後で作るからその時にね」


「は~い!へへ、私も手伝おうかな?タルト、作ってみたいし」


そう会話する仲睦まじい母と娘

何とも微笑ましい光景だがそれを聞いているジールは別の日の記憶が蘇る


(リンが手伝う?おいおい、止めてくれ。以前リンが夕食作りを手伝った時は三日は目を覚まさなかったぞ)


夕食と言う名の劇薬を口にし、生死の境をさまよった時の事を思い出しブルっと身を震わせた

明らかに見た目が人が口にするような形を形成していなかったし、何か動いてた。あと紫色

だが愛娘が作った初めての手作り料理

残すという選択肢は無かったのだ

ジールは思う、神龍と戦った時より死を覚悟しました、と


「じゃ、じゃあ行ってくるから」


当時の事を記憶の奥底に封印し今度こそ扉を開け出発する

先程と違うのはエリーとリンがジールに見向きもせず「ふふふ」と怪しい笑みを浮かべているとこか

あと地面に着くほど垂れ下がっているリンの涎


そしてジールに大事に抱えられているエリーの手作りタルト


自分がしばらく家を留守にするのに無視されていることに若干拗ねるが、抱えているタルトにそっと手を当てフッと軽く微笑みを見せた後静かに家を出て行った



次に帰ってくるときには二人には今までにないプレゼントを手にしている事を思い描いて・・・



だが現実とは無常である

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ