36・人魚姫?の涙を求めて
「と言う訳でしばらく留守にするからな」
「と言う訳でって?」
ガルスの家から帰宅後、人魚姫の涙を採取するためしばらく留守にする事を家族に伝えたジールだが・・・
本来の目的を隠したい為、何とか誤魔化しながら伝えるがどうやらミッションは失敗した様だ
腰に手を当て仁王立ちでジールに詰め寄るエリー
どうにもジールが約10日ほど留守にするのが気に入らないらしい
ジールの目的である人魚姫の涙、それは『未開の海域』と呼ばれる最果ての場所であり、その最寄りである町まででも馬車で片道一か月はかかる距離・・・それをジールは片道5日で行こうと言うのだ
それでもエリーは気に入らないみたいだ
「いや、だから・・・どうしても手に入れたい素材があるから」
「だ・か・ら!何でその素材が手入れたいのって私は聞いているのよ」
どんどん鬼の形相になっていくエリーにダラダラと冷や汗が止まらないジール
ついでに股間も少し湿っぽくなってきた
しかし本来の目的を話してしまうとせっかくジールが思い描いている構想がエリーとリンにばれてしまう為、ここは何としても誤魔化したい
しかし目の前の般若を前にして既に心が折れそうである
とうとう足腰が生まれたての小鹿のようにプルプルしてきてしまった
「もう~、パパ、いい加減吐いちゃいなよ」
さらにエリーの性格を色濃く継いだリンちゃんも参戦してきた。その為、攻撃力はいつもの二倍だ
「・・・」
リンが何とか吐かせようと煽るがジールは一向に口を割ろうとしない
それもそのはず、ガルスに加工を依頼している事さえ二人には秘密にしているのだ
全ての素材が揃い、そしてそれが完成してから手渡すつもりだ・・・あと少し恥ずかしいってものあるらしい
しかしジールのその姿を見て二人は盛大な勘違いをしてしまっている
「ジール?ジール・ストライダル、あなたは一体どこに行くつもりなのかしら?」
「パパ~?もしかして本当は別の目的があるんじゃないの?」
ギクッ
中々鋭い。さすがエリーとジールの血を引く娘である
「いいいいいいいやいや・・・」
もはやこれまでか・・・
そう思われた時、ジールの頭に妙案が閃く
「そ、そうか!バレてるんならしょうがないか!いや~実はさ、ガルスに頼まれて『人魚姫の涙』を採りに行かなくちゃならないんだよ!本当はめんどくせーし行きたくないんだけどよ、何かガルスのヤツ、自分の嫁さんに内緒でプレゼントしたいアクセサリーがあるみたいで。んでその材料として人魚姫の涙がいるらしいんだ。まぁ俺としても断りたいんだけどよ、日頃世話になってるし、ガルスの男気を組んで受けようかなと思ってな・・・」
苦しい、少し苦しい言い訳だが、半分は本当の事なのである程度は真実味があるように聞こえる
実際はエリーとリンの為なのだが
しかし苦し紛れの言い訳が図らずもジールの思惑通りになった
「ふ~ん・・・ガルスさんがね。あの人もいいとこあるじゃない。それなら仕方ないわね、でもなるべく早く帰ってくるのよ?」
よしっ!よしよしよーし!
ジールは心の中でガッツポーズを決める
普段は中々思い通りにいかないことが多いが今回は見事にハマってくれた
「へぇ~あのオジサンもいいとこあるね!ただのパパとの変態仲間かと思ってた」
「・・・」
リンちゃんの方が正解
だがエリーを欺けたのは大金星と言えるだろう




