30・ハイヒールは履いていません
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「何か言うことは?」
「・・・」
どうやらただの屍の様だ
「それで?私の声が聞こえるかしら?聞こえないようなら聞こえるようにしてあげるけど?」
股間を押さえたままピクリとも動かない目の前の屍に声を掛けるリンだが反応がない
それもそうだろう、だって死んでいるのだもの、男として
再度声を掛けるも全く反応の無いことにイラついてきたリンはツカツカと屍に近寄った
そして蹲っているそれをゲシっと足でひっくり返す
仰向けに転がった屍、口からはブクブクと泡を吹いている
そして目には涙、鼻からは鼻水。ついでに下腹部からは色々何か出ている
「うわぁ・・・」
自分でヤったくせに顔がかなり引きつっている
ひどい、何より見た目がひどい。特に男性が見たら卒倒する見た目、主に下腹部が
しかしこのままにしていても埒が明かないと思ったリンはそれに回復魔法を掛けようと試みる。ただ、まだ回復魔法は覚えている途中で上手くいくかどうかは分からない
「う・・・」
そう思っていた矢先に目の前の屍がモゾモゾと動き出した。どうやら並外れた己の回復力で何とか意識を取り戻してきたみたいだ
それを見たリンは少しホッと一息つき、再々度声を掛けた
「あら?気が付いたかしら?どう、私の声が聞こえるかしら?」
腕を組み仁王立ちしてジールの事を見下ろした
その声を聞き僅かながら復活したジールはフラフラしながら立ち上がり何とか言葉を絞り出す
「くっ・・・リン・・・お前エリーに似てきたな」
「お言葉ね、それでパパ?聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
「・・・」
沈黙を貫くジール。まだ痛いのだチン〇ンが
しかしそれを勘違いし、拒否と受け取ったリンはこめかみに青筋を受かべ魔力を込め始めた
それを見たジールは慌ててずっと股間を押さえていた手を離し地面に這いつくばった
「ひっ!分かりました!何でも答えます!何でも教えまする!私はあなたの忠実なるしもべでございまする!何でもおっしゃって下さい!」
土下座である
これ以上男として男たるものを失いたくないジールはプライドなんかそっちのけ、地面にめり込む勢いで土下座した
「よしよし、それでいいよの。じゃあまず、シャルばあちゃんは何で魔法がほとんど使えないの?」
腕組み仁王立ちのコンボで土下座しているジールを見下ろす
その姿は小さい般若さながら、エリーに似ていると言われても間違った表現でないことが頷ける
「それは・・・」
だがジールは答えを濁しているのか、地面を向いたまま言葉に詰まっている
「あら?答えられないって言うの?それなら仕方ないわね」
「いやっ!あのっ!リンさん!それはワタクシめにも分からないのでございまする!何なら直接本人に聞いてみてはいかがでしょうか!?」
希望通りの答えが得られなかったリンはイライラして地面を隆起させるため魔力を練るが、必死になりグリグリと地面に頭をめり込ませながら許しを請う自分の父を見て少しの優越感を得る
もしかしたらドSの気質があるのかもしれない
そんなジールの姿を見て納得はしてないが満足したのか、込めていた魔力を解除した




