28・煽り、ダメ、絶対
「お、おい。落ち着けリン。あ、頭が、脳みそがと、飛び出る」
思いっきりブンブン頭を揺らされ目を白黒させる
脳みそが鼻から出てくる前に何とかリンをたしなめ落ち着かせた
「パパ!神鱗だよ?分かる?」
「あぁ、分かってるさ。それよりリン、あのばあさんの腰は少し良くなってたのか?」
ふぅっと一息ついたジール。だがあからさまに話題を変えリンの手からそっと神鱗を取った
元々ジールに渡すつもりだったリンも特に抵抗することなくそれを受け入れる
「う~ん、良くなってみたいだよ。何かパパから貰った薬が効いたみたいだし、それにいつも持っている大きな斧を振り回していたから」
「お、おう。そうか、あのババアも相変わらずだな」
リンはその時の光景を思い出したのか軽く首を竦めて見せる。そしてそれを聞いたジールはヒクっと顔を引きつらせる
確かに、妙齢の女性がバカでかい斧を振り回している光景はよく考えたら恐怖でしかない
「あ、そう言えばさぁ、何でシャルばあちゃんってほとんど魔法が使えないの?」
そしてリンはふと思い出したようにジールに尋ねた
しかしジールはそれを聞き不思議そうに、そして呆れたように言う
「魔法が使えないぃ?はぁ・・・あのババア、まだそんな事言ってんのか。いいかリン、シャルはあれでも昔は『鮮血の大賢者』って呼ばれてたぐらいの大魔法使いだったんだぜ?」
「せんけつのだいけんじゃ?」
「そうそう、今は分かんねぇかもしれないけど、アイツは昔は綺麗な銀髪でな。そんで周りの敵の返り血を浴びまくってその銀髪が真っ赤に染まることからその異名が付いたんだよ。それに笑いながら敵を殲滅するもんだから・・・まぁその辺は今も変わっちゃいないけどな」
ブルっと過去の事を思い出したのか、ジールは両手で肩を持ち身震いした
ジールからあまり昔の話を聞いたことないリンは、へ~っと大人しく話を聞いていたが、ふとその話に疑問を持ったのか不思議そうにジールに問いかける
「じゃあ何でシャルばあちゃんは今魔法が使えないの?」
その問いに対しジールは両手を組み、少し考え込んだ後ゆっくりと口を開く
「それはだな・・・」
さっきまでのいつもの変態ジールの顔とは打って変わって、真剣な面持ちでリンを見据える
普段は見ないような自分の父の顔を見て、これは何か余程の事があると思ったリンはゴクリと唾を飲み込みジールの次の言葉を待つ
「それは?」
「それはだな・・・
スマン、忘れた」
「・・・」
ズガンッ!
「ぐがぁ!」
ジールの頭上に先日を遥かに超える大きな氷塊が落ちた
「ま、待て!落ち着け!かなり前の事だから忘れちまったんだよ!」
ドゴンッ!
「うげぇ!」
ジールの必死の言い訳も空しく、再び頭上に氷塊が落ちてくる
「くそっ!このままじゃ昨日の二の舞だぜ」
そう思ったジールはスポン草を仕舞った時に使った空間収納を駆使し、頭上に次々に現れてくる氷塊を取り込んでいく
「あっ!ずっるーい!パパ、その魔法ズルいよ!」
「はっはっは!以前の私と一緒にしないでくれたまえ!昔の私とは違うのだよ」
「・・・ふ~ん」




