27・顔面モザイク
その後一人と一匹は何気ない会話を交わしお互い帰路に着いた、と言ってもジールが一方的に喋っていただけなのだが
そして村の近くまで帰ってきたジールはとりあえずダノンにスポン草でも届けるかと思い歩みを進める
と少し進んだところで前方によく知った顔を発見し声を掛けた
「お~い、リンじゃないか。何やってんだそんなとこで?」
そこにはシャルから貰った、いや食べられるところを死守した神鱗を見ながら嬉しそうにニヤニヤしているリンが居た
エリーに似て将来かなりの美人になるであろうその横顔はニヤニヤしているところを見たら残念ながらジールによく似ている
「ほえ?あ、なんだパパかぁ」
間の抜けた返事をし、ジールの方を見るがどうでも良さそうに再び神鱗に視線を戻した
そんなリンを見たジールはイラっとしたのか走ってリンのそばに駆け寄り己の存在を精一杯アピールするつもりでリンの前に立ちふさがる
「何だとは何だ!仕事帰りのお父様に向かってご苦労様の一言ぐらい」「はいはいご苦労様。それよりもこれ見てよパパ!」
パパの威厳を取り戻したいが為、必死に頑張ろうとするが呆気なくリンに遮られてしまう
そしてその眼前にリンが手にしているキラキラと七色に光るものを突き付けられた
ドヤ顔をして鼻息を荒くし興奮しているリン。だが眼前に近すぎて逆に見えにくい、むしろ目に刺さりそうな勢いだ
「おい落ち着けリン。見えない、近すぎる。それに何か光ってて眩しい」
目を潰されてしまっては敵わないと思いリンの手を持ち優しく下す
だがその手にしている物を見た途端驚愕に目を見開き今度はジールの方からそれを目に近づけた
「お、おい!リン!これはどこで手に入れたんだ!?」
「ちょ、ちょっとパパ。痛いよ」
グイっと引っ張られた手が痛い。そして鼻息が温くて気持ち悪い
先程鼻息を荒くしていたリンだが今度はジールの鼻息が凄い
リンが持っているのものが神鱗だと気付いたのか、そうだろう。そうでなければこんな凄い顔面にはなってないはずだ
レイカーのたわわに実った果実に対する凄い顔面とはまた一味違う、ある意味この世のものとは思えない顔面になっていた
「リン・・・これはもしかして・・・」
一通り気持ち悪さが一周した顔面が落ち着き、少し元に戻ったジールの顔面がリンに問いかける
その問いに対して再びドヤ顔を繰り出したリン。やはりこいつらは親子である
「へっへ~ん!凄いでしょ!神鱗って言うんだよ!シャルばあちゃんに貰ったんだ!ホントは、さすがに受け取れないって言ったんだけどね。何か煎餅と間違えて食べられそうだったし、くれるって言うから貰ってきたんだよ」
「あのババアが?煎餅?・・・つーかやっぱ神鱗か、何考えてんだアイツ。今更になってコイツを手放すなんて・・・」
リンの言葉を聞きボソボソと一人で問答をし始めた
そのジールの姿を見てアレ?とリンは首を傾げる。それもそのはず、リンが期待していたのは伝説の素材である神鱗に対してジールが驚くかそれとも褒められるか
驚きはしたが褒められることは無く、むしろブツブツと独り言を言い始める始末
「パパ?どうしたの?ねぇ、神鱗だよ?知ってるの?」
ジールが思考が深くなって自分の世界に入ってしまったのを現世に戻すため、リンはジールの肩を持ちブンブンと前後に揺らした




