23・現実は史実よりも酷なり
「うん・・・聞いたことはあるんだけど、パパ、あまり話してくれないかな。何かいつもうまく話し逸らされちゃって。ママからも少ししか聞いたことないし・・・」
シャルからの問いかけに少し寂しそうに答えるリン
そんな儚げな少女を見たシャルは少しバツが悪そうにボリボリと三角帽子の上から白髪に染まった頭を掻いていた
「なるほどねぇ・・・まぁジールの気持ちも分からんでもないさ。昔のアイツは少し荒れていたからね」
「パパが?あの変態のパパがねぇ、やっぱり想像つかないや。まぁ昔の事はあまり話してくれないしよく分からないけど今のパパは優しいからいいや!ちょっと変態だけど、昔は昔!今は今!」
落ち込んでいたと思ったらピョコンと顔をあげニッコリ微笑むリン
何だか一人で納得し腕を組みながらウンウンと頷いている。考えても仕方がないと悟ったのだろうか、それともただ単に考えるのがめんどくさくなったのだろうか
しかしそれを見たシャルは本日何度目かの大きな声を出し笑い出した
「あっはっは!さすがアイツの娘だよ!肝が据わってるというか何も考えてないというか!どっちしろいい娘に育ったもんさね!」
「何よぉ、何も考えてない訳じゃないんだからね!」
腹を抱え豪快に笑っているシャルを見てリンはプクーっと頬っぺたを膨らまし分かりやすく拗ねてみた
「すまないすまない!あまりにもアイツに似てるもんだからさ」
「ふんっだ!パパなんかに似てないですよーっだ!・・・あ、そう言えばシャルばあちゃん?」
フンっと鼻を鳴らしプリプリ怒っていたリンだがふとシャルの先程の言葉を思いだしたのかプックリ膨らました頬っぺたを元に戻し問いかけた
「さっき何か言いかけたよね?パパが何か言ってなかったかとかどうとか?」
「あ~、いやさね、大した事じゃないんだけどさ・・・勇者がどうとか魔王がどうとか、そんな事言ってなかったかい?」
少し言いずらそうな顔をし、少し考えた後言葉を選びながらシャルは答えた
本当はリンに聞くべきじゃなかったのかそれともジール本人に聞くべきだったのか、少し悩んだが自分から言い出してしまった手前、変に隠す事も出来ず濁すように言うしかなかった・・・がそんなシャルの心配を他所にリンはキョトンとし、不思議そうな顔をしていた
「勇者?ん~特に何も言ってなかったと思うよ?勇者ってあの物語とかに出てくる?勇者がどうかしたの?」
よく小さい頃に読んでいた物語に出てくるの伝説の勇者の事を思い出すリン
その内容はよくありがちな、召喚された勇者が正義の名を振りかざし悪とされる魔王を倒す物語
特にその物語に思い入れがあるわけではないが、勇者とか魔王とか物語の中の話で本当に実在するわけがないと子供ながらに感じている
しかしシャルはそう思っているリンの考えをあっさり否定する
「リン、知っているかい?アンタも聞いたことがあるお伽噺、アレは実在した話なのさ。ただし実際の話は伝えられているものと大きく違うものなんだけどね」
「え?なになに?本当はどんな話なの?」




