22・ペルソナ
「・・・よし、えーと次は何だったかいね?あ、そうそう炎の王アドラメルク!」
リンがそんな事を考えている間にシャルの詠唱が再び完成し先程とは形の異なる魔法陣が展開される
何だか全く同じ展開に結果が見えている気もするが・・・
そして魔法陣から再び炎が収まりそこに現れたのは
小さい火を纏った小人だった
期待を裏切らない結果である
「あ、お兄ちゃん」
「あれぇ?何でこんなとこにいるの?」
しかもどうやら先程召喚した小人の兄弟みたいだ
「あっはっは!やっぱり駄目かね!まぁアタシにはこれがあるからいいか」
自分でも初めから結果が分かっていたのか、再び爆笑しながら後ろに投げた斧を拾いながら立ち上がるシャル
魔法の知識などは人一倍優れているのにそれを扱う魔力は人並み以下
天は二物を与えないと言った事はまさにこの事か
「ねぇ?」「ねぇ?」
「僕たち」「僕たち」
「もう帰ってもいい」「いいよねいいよね?」
場違いな空気を察し、小人の兄弟はシャルに問いかけてきた
「ああいいさ。すまなかったね、いつも呼び出しちまって」
いつも呼び出してるんかい!
そう突っ込みたくなる衝動をリンはグッと堪える
まさかの顔なじみとは思いもしない
シャルが呼び出したるは炎の化身や神のはず。それが仲良い炎の小さい妖精とは・・・シャル自身が魔法のセンスがないのは事実なのであろうか
「ばいば~い」
「またね~」
「気を付けて帰るんだよ・・・さてと、ほら」
炎の妖精たちを見送ったシャルはリンの方を向き直り神鱗を投げ渡す
「わっ!?わっと!」
いきなり投げ渡されたそれを慌てて受け止める。落としたぐらいで壊れたりするような物でもないが、如何せん伝説級の素材なのだ
人生でお目にかかれないような大金を投げ渡されたようなものだ
「リン、アンタの親父にも見せてやんな。ジールなら意味のある使い方をしてくれるだろさ」
「パパに?う~ん、よく分かんないけどシャルばあちゃんがそう言うなら渡してみる」
意味ありげな事を言うシャルに首を傾げるリン
尋ねたいことは多くあるのだろうがそれより手にしている神鱗の事を考え大事にしまい込んだ
どこに?とは聞かない方がいいだろう。レディには秘密が多いものだ
「さて、運動の続きでもするかね。あ、そうそう。そう言えばリン、アンタの親父は何か変な事言ってなかったかい?」
手にしている斧を肩にズシンと担ぎ上げ振り回そうとしたシャルだがジールの事を思い出しリンに尋ねた。妙齢とは言え記憶力は悪くないみたいだ。口にしたら大きな声で笑いながらその斧で体ごと真っ二つにされるであろうから誰も口にしないが・・・
「パパが?パパはいつも変だけど・・・まぁ朝からママにボコボコにされてたぐらいで」
それはそうだろう。しかしシャルが聞きたいことは別の事で、だがそれを聞いたシャルは愉快そうに大声で笑いだした
「あっはっは!相変わらずあの男はあの子に頭が上がらないんだねぇ!こいつは愉快だ!アレでも昔はそこら中の人間に恐れられてたってのにね!」
「パパが?ねぇシャルばあちゃん、今日はパパの事勘違いしてない?神龍を一緒に倒したとか言ってたけど・・・全然そんな風には見えないけどなぁ」
「おや?ジールはアンタに昔の事を話さないのかい?」
いつもの自分の父の光景を思い出すのは簡単だが、どうしてもシャルが言うような人物像が自分の中に当てはまらない
自分が知っている父は変態でよく仕事をサボるし変態だし怒られてばっかだし変態だし・・・
リンでもなく誰でも想像できないだろう




