14・氷襲再び 刻まれた彫刻
~翌日 否、翌々日
ジールは再び森を訪れ、依頼の品々を採取した後持ち帰り忘れたブルーメタルトパーズを回収した
銀狼が不機嫌そうにしていたのは気のせいだと思いたい
「やれやれ、全く・・・昨日はまいったぜ。へ、へーくしょい!!う~風邪引いちまったかな?」
ズズっと鼻水を啜り採取した品を届けに村に戻ってきたジール
その村の中央には昨日の名残か、大きな氷塊が残っていた
「リンのやつめ・・・あんなにガチガチに固めなくてもいいだろうに」
そう、一昨日ジールが変態丸出しの格好で村に帰った途端、村の彼方此方で悲鳴が上がった
ーーー
「キャー!変態よー!」
「またストライダルのとこの変態か!」
「うほっ!いいお尻!」
悲鳴の種類はそれぞれ
だがその時金色の閃光が現れ一瞬でジールを氷の柱で串刺しにした
「こんの変態オヤジめぇ!な、何て格好してるのよぉ!!」
「ぐぼぁ!リ、リン・・・お、お前にこ、この素晴らしいセンスが、わ、分からないのか」
串刺しになりながらもキリっとポーズを取る事を忘れない
だがどこからどう見てもリンが言ってることが正しいのは言うまでもない
「うるさいうるさい!!恥ずかしいからさっさと服を着ろぉ!!」
「ぐべっ!ごはっ!」
あまりの自分の父の格好に何度も新しい氷柱を地面から召喚しジールの体に穴を開けまくる
年頃の女の子にとっては自分の父親のハイセンスな格好は受け入れ難かったみたいだ
「パパなんか大っ嫌い!!」
そう叫びながら止めの一撃と言わんばかり、バキンっ!!と大きな音を立てジールは巨大な氷塊の中に閉じ込められた
「っ!!?」
あまりの氷の密度に身動き一つ取れないジール
身体中に刺さっている氷柱、葉っぱ一枚で隠れている秘所、淡い氷の中に咲いている真っ赤な血溜まり
そしてそれら全てを包み込んでいる大きな氷塊
それはある種のオブジェの様な作品となっていた
「ふんっだ!」
ご立腹のリンはプリプリと顔を真っ赤にしてその場から離れていった
(あ、あのぉ・・・私はこのままなんでしょうか・・・)
血で真っ赤に染まったお尻をプリプリと出したまま氷塊の中に佇むジール
そしてジールがそこから出られたのは
日を跨ぎ、再び日が昇り始めた頃に現れた般若のごとく激昂したエリーによる鉄拳制裁であった
ーーー
そのようなことがあり昨日は色んな意味で採取に来れなかったのだ
「しかし何か最近よく瀕死な目に合うような気がするが・・・まぁいいか」
そのほとんどは自分のせいだというのに気にも留めていない
そう言いながら採取した品々をそれぞれの家に届けていく
今回はレイカーの時の様な間違いはないであろう。なぜなら・・・
「おうおうジールじゃないか!ガッハッハ!さすがに仕事が早いな!またよろしく頼むぜ!」
「おや、ジールじゃないかね。しっかし昨日はいいモノを見せてもらったよ。あっはっは!しっかし相変わらず汚いケツな事だよ!え?モヤイ草?あ~そう言えば頼んだね。最近物忘れがひどくてね」
「ふぁっふぁっふぁ、ジールじゃないか。待ち望んでいたわい。さ、さぁほら早くさっそくそのスポン草を寄こさんかいハァハァ」
・・・以上の有様だからである
しかしまた村人がジールの事を頼りにしているのも間違いないであろう




