13・これぞ匠の技
その爽やかな匂いに導かれ、銀狼は閉じていた目をそっと開いた
「っ!?」
するとそこには先ほどまでの死の大地と化した光景からは一転、元通りとまではいかないが見渡す限り生命に溢れた草木彩る深い森の美しい緑の光景が蘇っていた
目を見開き眼前に広がる光景に未だ信じられない銀狼
その真意を問うためにチラッとジールの方へ視線を送る
「どうだ、まぁ久しぶりにしては中々上出来じゃないか。ん?何だ?あぁ、まぁこれは俺のオリジナルの魔法なんだがな」
「・・・わふっ?」
銀狼の視線に気付いたジールは今の現象について軽く説明するが、こんな常識外の魔法陣なんか見た事がない、ともで言いたそうな銀狼の鳴き声に少し気まずそうに言葉を続ける
「・・・と言っても自分の生命を大地に変換する自己犠牲の魔法だからな。ま、俺にしか出来ないやつだよ」
ふっと寂しそうな顔を一瞬浮かべるが、それを隠すように銀狼の頭をわしゃわしゃと撫でる
格好つけている様に見えるがブラブラは相変わらず健在のままだ
「よーし!そろそろ本当に帰るか!」
銀狼の頭から手を除け、グーっと大きく手を広げ伸びながら下はブラブラしているジール。しかしふと自分の下半身を見てようやくそれに気付く
「おっと、さすがにこのままじゃ変態扱いか。どれ・・・どこかにちょうどいいモノはっと」
流石のジールでも全裸=変態という認識はあるらしく、それを隠すためにグルっと周りを見渡した
すると丁度いいモノを見つけたのかそこに近寄りながら手を伸ばす
「おっと、これなら中々いいんじゃないか?どれどれ・・・よしっ!おい、見てみろ?どうだ?バッチリだろ!?」
ゴソゴソと自分の股ぐらを弄った後、一通り作業が終わったのか自分の完成品を銀狼にドヤ顔で見せつけてきた
「・・・」
何とも言い難い表情の銀狼
それもそのはず、ドヤ顔で突き出している下半身。確かにブラブラは隠れている。隠れてはいるが、それを隠しているのは大きな葉っぱ一枚。そしてそれを結んでいるのは何とも心もとない木の弦
つまり前は辛うじて隠れてはいるが、後ろに周ればお尻は丸出しだ
「何だ?可笑しいか?・・・それともあまりの出来の良さに驚いて声も出ないのか?まぁそうだろうな!よしよし、じゃあ俺は帰るとするからな!あ、また明日この辺に採取に来るからそん時は襲ってくるなよ?じゃあな!」
そう言うとあっと言う間に銀狼の前から走り去るジール
その後ろ姿はお尻がプリプリ揺れていた
「・・・わふっ」
人間の感性は分からないが、きっと先程のジールの姿は間違っているであろう事は理解できる銀狼
彼は思った あいつは本当に自分より強いのか、と
ちなみに
ブルーメタルトパーズは忘れて帰っていた




