12・ブラブラ魔法陣
~さらにさらに数十分後
「・・・って事だ。よく分かったか?」
「キュゥン・・・」
ようやく終わりを迎えた『うなじの素晴らしさ講座』
迂闊に、居眠りも身動きも取れない銀狼はすっかりとやつれてしまったように見える
「よぉし、お前もうなじの素晴らしさが分かった事だろうし俺ぁそろそろ帰るぞ。・・・ったくせっかく採取した依頼品も全部燃えちまったじゃねぇか。まぁまた明日改めて採取に来るか」
「・・・」
ブツブツと文句を垂れているジールに対して何故か居たたまれない気持ちになった銀狼
そもそもが縄張りを犯したのはジールだというのに何となく罪悪感を感じている
尻尾を丸めたままジールを見つめ、少し考えた銀狼はふと自分の首の下辺りの一番モフモフしている個所から澄み切った青色の宝石を取り出す
それを口に加えトコトコとジールの元へ歩み寄りスッとそれを差し出した
「お?何だ?くれるのか?」
差し出された宝石を手に取りまじまじと見詰めるジール
そしてその宝石を一通り眺めた後その価値に気付いたようだ
「おいおい・・・お前、これはブルーメタルトパーズじゃねぇか。こんなもんどこで手に入れたんだよ・・・しかもこの品質の良さなら俺たち人間の価値でいえば容易く豪邸一つは軽く買えるぞ」
さすがにこれは受け取れないと、手に取った宝石を銀狼に突き返す
しかし銀狼はフルフルと首を横に振りあくまでもそれを受け取ろうとしない
それは罪悪感からと言うよりは、自分より遥かに強者であるジールに対しての賛辞なのかもしれない
それを見たジールはやれやれと首を竦めそれを受け取ることにした
「はぁ、分かったよ。ありがたく貰っておくことにするよ。ただ貰ってばかりじゃ申し訳ないしな・・・よしっ、ちょっと離れてな」
ジールは宝石を懐に仕舞おうとした・・・が、そもそも全裸なので懐がない
それに気付かなかったのも問題だがそろそろブラブラも仕舞って欲しいところだ
とりあえず、とジールは宝石を側に置き銀狼に離れている様に伝える
「よし、久しぶりだが上手くいくかな」
ジールはそう呟くと地面に両手を当て己の魔力を流し始めた
「う~む・・・よし、ここで生命力を乗せてっと」
ブツブツと魔法陣を刻むための呪文を唱え始める
そしてジールが魔力を流し始め数秒、周りの地面全体に大きな魔法陣が刻まれていく
その魔法陣は少しずつ光だし、その光は徐々に強さを増し辺り一面を強く包み込んだ
「!?」
その眩しさに思わず銀狼は目を閉じた
「・・・?」
そしてしばらく目を閉じ、徐々に光が収まり始めそろそろ目を開けようかと思っていた銀狼だがその前に自分の鼻孔を静かな深緑の匂いがくすぐるのに気付いた




