11・肉圧による弾圧
「・・・グ、グルルル」
膨大な殺気をその身に伴い、まだ高熱も冷めていない身体から熱によるエネルギーの残滓か、それとも怒りによるオーラか
全身から紅いオーラを漂わせ全裸で立っている男に恐怖する銀狼
思わずその恐怖から逃げようとするが・・・それはこの地の王者たる己のプライドが許さない
何とか震える体に鞭を打ち 竦んでいる強靭な足を奮い立たせ 銀狼は再び男の前に立ち上がある
気高き銀狼の前に腕を組み仁王立ちしてブラブラしている男 全裸のジール・ストライダル
その何かブラブラさせている男がどう動いても即座に反応できるように銀狼は尽きそうな魔力を振り絞り臨戦態勢に入る
そして・・・
全裸が口を開いた
「・・・ったじゃねぇか」
「!?」
聴力が人間より遥かに優れている銀狼でも聞き取れないぐらいの小さな呟き
全裸が動きを見せたことにビクッと反応するが、それより聞き取れなかった言葉に耳を傾ける
そして再び全身をプルプル震わしながら今度は大きな声で全裸が口を開いた
「てめぇ・・・
『えのき茸のうなじ』が全部燃えちまったじゃねぇかあぁぁぁ!せっかくのうなじが台無しだろうがあぁぁぁ!!」
「・・・」
おそらくかなり予想外であったであろうその言葉に銀狼は先程とは違う意味で動けないでいた
そんな呆気に取られている銀狼に追い打ちを掛けるように全裸ことジールは言葉を続ける
「てめぇに分かるのか!あのうなじの素晴らしさが!あのハリ!あのツヤ!そしてあのセクシーさ!!どれをとってもそんじょそこらのうなじとはワケが違うんだぞ!いいか!?おい、そこに座りやがれ犬っころ!そもそもうなじとはな!・・・・・・」
怒りを爆発させたジール
ツカツカと銀狼も元へと歩いていきその頭を鷲掴みにし無理やり己の前に座らせる
座らせたことでブラブラが銀狼の目の前に来るがそんな事はお構いなしだ
目の前を右へ左へブラブラしているブラブラを目で追いながら
無理やりお座りさせられた気高き銀狼は訳も分からず突然始まったジールによる『うなじの素晴らしさ講座』を聞く羽目になったのである
~数十分後
「であるからして・・・あの弾力が・・・」
「・・・」
~さらに数十分後
「そしてその下からのアングルが・・・おい!聞いてんのか!?」
「キャウンッ!」
鼻提灯を膨らませていた銀狼に鉄拳が飛ぶ
気高き銀狼はどこへやら ただの躾をされている大きな犬のようだった




