第23話 百合ビッチの夜
美味しい夕食の後もう一度お風呂に入って、そして少しお話をした後、それぞれの個室で就寝。
個室はベッドと机という簡素な造り。
しかしベッドマットそのものはなかなかいい物を使っているようだ。少なくとも寝心地はいい。
ベッドそのものも標準的なものよりそこそこ広い気がする。
少なくとも実家の私の部屋のものより数段いい。
寮の私の部屋のものよりは広さと豪華さは劣るけれども。
実家と寮のベッドの格差は、そのままその場所での私の立場の強さを表していると思って欲しい。
さて、明日はいよいよ迷宮攻略だ。だから睡眠魔法を使っても早く寝よう。
いやその前にお風呂での体験を思い出してひとつナニしてから……
そう思った時だった。
トントン、トントン。個室の扉をノックする音が聞こえた。
「はい」
「リリアですけれど、宜しいでしょうか」
幸いナニする前だったので問題はない。
身を起こして寝間着をさっと整え、ベッドに座りつつ返事をする。
「どうぞ」
「それでは失礼します」
可愛らしいピンクのネグリジェ姿のリリアが入ってくる。
私が背後から抱きかかえられる位に小さい身体に成長途上の胸。
でもお尻とふとももはややボリュームがあって悪くない。
髪は就寝前だからかポニーテール風に束ねているが、それもいい。
まさに正統派のロリだ。中のおっさんはもうクラクラ状態。
リリアは私が座っているベッドの、私の真横へちょこんと座る。
肩が触れあうくらいの近さだ。
「実はお姉さまに個人的にお話ししたいことがあるのです。今、お時間よろしいでしょうか?」
お姉さまだと! おもわずきゅわん、と来てしまった。
これが子宮がうずくという感覚だろうか。
しかしそんな本音を言う訳にはいかない、自分を殺して注意しておこう。
「リリアと私は同じ学年ですわ」
「私は12月生まれで、お姉さまは4月生まれです。ですからせめて、2人だけの時はお姉さまとお呼びしたいのですが……駄目でしょうか」
ああ可愛い。もう正常な判断は投げ捨ててしまおう。
「わかりましたわ、リリア」
「ありがとうございます。お姉さま」
ああこの笑顔も可愛い。
押し倒したい! そう思うがぐっと堪える。
ここはYesロリータNoタッチの精神だ。既にお風呂で散々タッチしてしまったけれど。
「そこでお話なのです。でもお話の前にお願いです。この部屋に情報秘匿をかけていただけますでしょうか。私は補助系の魔法がさっぱりなので」
「わかりましたわ」
私は情報秘匿の魔法を起動する。
これでこの部屋の中で何が起きても、部屋の外には伝わらない。
しかしいいのかなリリア、これだと私がリリアを襲ってもバレないぞ。
でも女の子同士だからいいのかな……駄目だよな……
「ありがとうございます」
リリアは私に頭を下げ、そして続ける。
「それではお話と言うかお姉さまに質問です。私、リリアの事をお姉さまはどうお思いでしょうか。可愛いと思ってくれるでしょうか。好きだと思ってくれるでしょうか。勿論お姉さまにはエンリコ殿下というお似合いの方がいるのは知っています。それでもどうしてもお姉さまの事が好きでたまらないんです」
おっと、思わぬ告白だ。思わずここで一線を越えてしまいたくなる。
いや女の子どうしだから別に一線を越えても問題ないよね、とか思ってしまう。
ああでもいけない、私にはナージャとリュネットも……
取り敢えず妄想が爆発する前に、ここで訂正しておこう。
「殿下は別にそういう相手ではないですわ。お願いされた以上仕方ないから迷宮に同行しただけです。私としてはリリアの方がよっぽど可愛いですわ」
「私は昔から男性には魅力を感じなくて、同級生がそういった話をしていてもどうしてもその魅力がわからなかったんです。むしろ女性の方が綺麗だしいい匂いもするし、触れていて気持ちいい。そう思うのはおかしい事でしょうか」
おっとナカーマ、発見だ! もう私の理性がかなりフライアウェイしてしまう。
「おかしい事は無いですわ。実は私もそうですから。ただ実はリリアだけでなく、一緒のパーティにいるナージャやリュネット、それにナタリアも可愛くてしかたないのです。これってリリアよりもっとおかしいですよね、きっと」
「そんな事無いです!」
リリアが強く否定してくれた。これは嬉しい。
「私もナタリアが大好きなんです。昔からそうなんです。私はこの通り小さいですし力もありません。ナタリアはそんな私の騎士であり王子様なんです。ただナタリアは私の事を大事な友達兼自分の被護衛者として思っているようで、私と同じ意味で好きとは思ってくれていないみたいですけれど」
いつものリリアの口調とかなり違う事を、今更ながら気付いた。
きっと今のがリリアの地なのだろう。
私としてはもう可愛くてしかたない。食べちゃいたい程に。
「それは私も同じですわ。ですからナージャにもリュネットにも、こういった話は一切していません。ですけれど本当は、友達とは別の意味でも大好きです。ですからお風呂で洗いっこなんてしていますけれどね。不自然ではない程度でと思いながら」
「嬉しいです。お姉さまが私と同じで」
リリアがぎゅっと抱き着いてくる。当然私も思い切り抱きしめる。
暖かくていい匂いがする。華奢な身体が実にいとおしい。
「実はお風呂で洗っているのを見て思ったんです。お姉さまも私と同じ種類の人間じゃないのかと。だから勇気を出してこの部屋に来てみたんです。これからお姉さまとこの話をして、良ければ抱いて貰えるかなと思って。このネグリジェも精一杯可愛いのを選んだんです」
ああ何と可愛いんだ。
しかし冷静に考えると私もリリアも今、相手1人が好きだというのではなく、女の子複数が好きだという話をしている。
これはひょっとして、ビッチという奴。相手が女の子だから、百合ビッチとでもいうべきか。
それでもかまわない。
何故なら私も外見上は女の子で、女の子が大好き、
しかもナージャもリュネットも好きだと言っているそばから、リリアに好きだと言っている。
まさにこれこそ百合ビッチだ。
お互い百合ビッチ同士なら、何の問題も無い。
「それじゃ今日は、2人で一緒に寝ましょうか」
私はついに、やっちゃうぞ宣言をしてしまう。
「でも私は、この通り貧弱ですし胸もありません。一方でお姉さまは、身体の線もお顔もとてもきれいです。冷静に考えると、私はお姉さまに愛して貰える資格があるのでしょうか」
違うぞリリア。君はロリの魅力を甘く見ている!
「綺麗より可愛いの方が強いのですよ。そしてリリアは間違いなく可愛いですわ。それは私が保証いたします。何ならこれから証明してもいいですわ。それでは不服でしょうか?」
「いいのでしょうか、お姉さま」
「そこは『お願いします』ですわ」
私は両腕でリリアの両腕を上にあげさせて、そしてネグリジェを下から上へと持ち上げて脱がせる。そして……




