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TS転生悪役令嬢ですが、フラグを壊しすぎて別のフラグが立ってしまいました  作者: 於田縫紀
第1章 予定より早い接触

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第12話 殿下と迷宮

 本日は休息日、つまり殿下と迷宮(ダンジョン)へ行く日だ。

 リュネットやナージャと寮で合流し、待ち合わせの門の前へ。

 時間ちょうどに殿下は現れた。


「待たせたね」


 殿下登場、1人だ。


 ただ何となく周りに気配を感じる。

 いつものお付き2名とは違う、本物の護衛がついているのだろう。同一パーティにならないよう距離をとり、こっちには極力気づかれないような態勢で。

 ある意味これで一安心だ。

 殿下の単独行動で襲われたらと思うと、洒落にならないから。


「今日はどんな予定で攻略するんだ?」


「最初ですので第1階層で10体、第2階層でレベルアップするまで魔物を倒していただきます。レベルアップしたら一度休憩して、その後第3階層へ進むつもりです」


「何故レベルアップしてから第3階層へ進むんだ?」


「第3階層からはゴブリンが出てきます。ゴブリンは3体以上の集団で出てくる事がありますから、その際は役割分担が必要です。ですので第2階層までで魔物に慣れていただき、更にある程度の力をつけた上で第3階層以降に望むこととしました」


 勿論この辺も考えている。主に私がだけれど、私が一番知識があるので仕方ない。

 ナージャは戦えば実力がつくという戦闘種族思考だし、リュネットは聖属性魔法は確かに凄いけれど戦闘向きではないから。


 学校からクザルゲ迷宮(ダンジョン)までは、歩いて10半時間(6分)かからない。

 元々学校施設と研究所、近衛騎士団本部、聖神教会とクザルゲ迷宮(ダンジョン)はこの街オーツェルグの同じブロックにある。ブロックの端と端という関係だ。

 あっさり迷宮(ダンジョン)に到着、受付へ。


「本日は午後4時過ぎまでこの中で訓練するつもりです。第5階層までの予定です」


「わかりました。お気を付けてどうぞ」


 冒険者証で殿下だとわかるのに受付嬢、いつも通りだ。これはなかなか訓練されている。

 ひょっとしたら事前に殿下が来ることが知らされていた可能性もある。

 なんて事を思いつつ、私達は先へ。

 第1階層へ下りる階段の手前で停止。


「ここで装備を着装しましょう。ここを下りると第1階層ですから」


「わかった。第1階層の装備はどんな感じがいい?」


「動き回りますから軽快な格好で。私達も授業で使う革鎧のみで、ナージャが剣、私とリュネットが魔法杖を持つだけです。殿下は攻撃魔法を使えますから武器はいりません。魔法杖と最小限の防護で大丈夫です。リュネットがいるから魔力切れの心配もありません」


 私の魔力感知で獲物を探して動き回る予定。

 だから重装備をしたらあっという間に体力が減ってしまう。

 リュネットがいるから、回復の問題無いのだけれども。


「わかった。僕も革鎧と魔法杖にしよう」


 全員装備を調えたところで階段を下り、第1階層へ。

 もう何度も入ったので、魔力感知の時点で獲物が何か種類までわかる。

 殿下の最初の獲物はスライムだ。


「それでは行きます。先頭は私と殿下で」


 最初はまっすぐ行って、次の十字路を右に曲がってすぐ停止。


「この先に魔物がいるのですがわかりますでしょうか」


「うーん……3腕先(6m)に何か魔力を感じる気がするな」


 正解だ。


「ええ、そこにスライムがいます。出来るだけ弱い火属性の魔法で倒して下さい」


「わかった。『全てを滅し浄化する炎の女神よ、我が祈りに応え力を貸し賜え。(ファイア)!』」


 殿下、学校で習った通りの正しくも長い呪文を唱えて炎の魔法を起動。あっさりとスライムを倒す。


 やはり真面目に呪文を唱えると、何かと面倒だ。

 仕方ない、護衛の皆さんにも聞かれてしまうけれど、ここで無詠唱の事も教えてしまおう。


「殿下。これは学校での教えと少し異なる方法ですが、宜しいでしょうか」


「何かな」


「殿下の魔法は大変正しいのですが、実戦では呪文を全て唱えると起動がその分遅くなります。ですので討伐の間だけは学校で習っていない方法ですが、無詠唱か短詠唱で魔法を起動させるようにして下さい」


 本当は教えたくないのだが、効率上仕方ない。


「短詠唱というのは聞いた事があるが、無詠唱というのは初耳だ。そんな事が出来るのか」


「ええ、こんな風に」


 私は無詠唱で熱線魔法をトン、トン、トンと3連射する。


「そんな事が出来るのか」


「ええ。得意魔法ならイメージ次第で可能です。この次の獲物が出た時に練習してみましょう」


 魔法感知で確認。次の獲物は一度十字路に戻って、右折して、T字路を左だな。


「こちらです」


 歩き始める私に殿下が尋ねる。


「アンブロシアはどうやって魔物がいる場所を知っているのか?」


「魔力感知が得意ですので、この程度の距離でしたら感知する事が出来ます。殿下も最初魔力でスライムを感じたでしょう。あれと同じ方法です。レベルアップすれば殿下も出来るようになると思います」


 これはお世辞ではない。

 殿下は近いとは言っても魔力でスライムを感じる事が出来たのだ。

 ここで討伐を繰り返してレベルを上げればおそらくわかるようになるだろう。


「そうか、それは楽しみだ。場所だけではなく種類もわかるようになるかな」


「私も種類までは最初はわかりませんでした。でも今では何度もここに入ったので、種類もある程度はわかります。殿下も今日中にはわかるようになるかと。なお今度はケイブフロッグという、カエルの魔物です」


 ケイブフロッグなら、ある程度以上近づかなければ襲ってくることもない。

 というか、この階層に出る魔物はスライムも同じなのだけれど。


 だから次のケイブフロッグで、殿下に無詠唱の練習もして貰う。

 リュネットもナージャも得意魔法ならすぐ出来るようになったのだ。

 殿下もおそらく出来るようになるだろう。


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