リリアナ
リリアナ視点です。
リリアナの行動が何故こんなにアホなのか、説明が必要かなと思って入れたのですが、
今度は、リリアナが何故こんなに性格が悪いのかが説明出来なくなった感があります。
不愉快なら、読み飛ばしても大丈夫です。
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……ユリウスが居なくなってしまいました。
「リリアナ様、今しばらく、お傍を離れる事をお許し下さい。
必ず戻って、リリアナ様を幸せにすると誓いますから」
「嫌よ!
あなたまで居なくなってしまうの!?
わたくしには誰も居ないのに……」
「必ず、必ず戻って参ります。
リリアナ様のためにもどうしても手に入れなければならないものがあるのです」
「ユリウス……」
こうして、一人になってしまったわたくしに、さらに追い打ちをかける出来事がありました。
「リリアナ様、今日から学園へは通わず、屋敷でお過ごし下さい」
新しい執事は見目は良いのですが、前の執事と違って、わたくしの言いなりになりません。
「な、何故!?
学園の卒業は、この国の貴族として最低限だわ。
卒業出来なかったら、わたくしはどうなるの!?」
「ユリウスが戻ってきてどうにかするでしょう。
これまでも、何度も他家からの苦情をお伝えしてきました。
今回は王家と学園からの命令です。
リリアナ様を表に出す事は、もう出来ません」
こうして、わたくしは自室に閉じ込められる事になったのです。
「なんて、忌々しい!
きっとあの女のせいだわ」
あの女、妹のマリアナです。
幼い頃からずっと、わたくしのものを奪い取ってきました。
大した興味もないくせに、お母様に強請って。
全く手も付けられていない、わたくしへの贈り物だった物を、ずっと後になって返してこられるのを、どれほど悲しく思っていたか。
それでも子供の頃は、まだ良かったのです。
使用人達は、皆、わたくしの味方。
妹は、ブクブクと太って醜く、美しいのはわたくしだけ。
妹には居ない婚約者のジェレミー様。
将来はわたくしが継ぐ事になる伯爵家。
そのために、わたくしにだけ施される教育。
些細な間違いを理由に、鞭でわたくしを叩いてばかりの、あの憎らしい女家庭教師も、伯爵家の当主となったわたくしには逆らえないでしょう。
女伯爵となった時がわたくしの復讐の始まりの時となるのだと、そう思う事で日々を耐えていたのです。
ですが、ある時から状況が変わり始めました。
「っ何故!? 何故ですか? ジェレミー様はわたくしの婚約者でしょう!」
ジェレミー様とわたくしの婚約を解消し、妹と婚約し直しするというのです。
それでは、わたくしの将来はどうなるのですか!?
泣いて嫌がり、どうにか婚約解消は免れました。
ですが、妹も婚約者であるというのです。
とうとう婚約者までも、伯爵家の家督までも奪い取ろうというのね。
妹への憎しみが、わたくしの中で膨らんでいくのが分かりました。
さらに思わぬものまで奪われるようになりました。
それは、容姿。
かつて醜かった妹は、学園に入る頃には、わたくしと瓜二つになっていたのです。
何て忌々しい! わたくしの予備でしかない妹の分際で。
身の程を弁えて、一生太って醜いままで居ればいいものを。
長子であるわたくしこそが、この家の正式な後継なのですから。
なのに、そんなわたくしの想いとは裏腹に、学園での評価も徐々に妹に奪われる様になっていきました。
何故、精々伯爵家の令嬢如きに、伯爵家の当主となるわたくしが阿らなくてならないの?
何故、高々女生徒と親しくしない程度で、礼儀を弁えないなどと侮られないといけないの?
何故、見目の良い男子生徒を選んで話す位の事で、はしたないなどと言われなくてはならないの?
何故、教育を受けていなかった妹の方が、学園の成績が良いの?
何故、家庭教師に鞭打たれた事もない妹の方が、礼儀作法の評価が良いの?
何故、学園の者達は、妹ばかりを褒めて、わたくしを蔑むの?
何故、何故、何故……。
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読んで下さってありがとうございます。