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はじまり

架空スポーツ物です

宜しくお願いいたします。

「え?」「なに?」「おー」

それは成功した時のみんなの第一声

「できたのか?」「出来たんだな」

研究員6人が宙に浮きながら実感した

「出来ました!」

机も椅子もパソコンも全てが宙に浮いた

「やったー」

全員が揃えて喜んだ


今から1年前

私達はスポーツメーカー「freeSPORTStool's(フリースポーツトールズ通称F.S.T」の新事業部社員になった

私は開発担当の筑波宏美と申します

やっとこの日から研究が始まりました!


更に半年前

会議で社長の一言で創られた新事業立ち上げの為の部署


新スポーツ開発事業部(仮)


シューズやグローブ等の研究員が集められた

格闘技用 球技用 水泳用等に声をかけらる


「また社長の思いつきだよ」


そう愚痴りながら、各々の部長達が選出して声をかける


研究者は研究が出来れば良い

今の場所で好きに研究したいだけ

新事業立ち上げ等の冒険は誰もしたがらない

それは部長達も解っている


だから 新人や窓際が集められて追い出された


社長室に呼び出された研究員6名が社長の前に並ぶ


社長の名前は 富士山一番

少年漫画に出てきそうな名前だが本名

体は小さいが圧があり大きく見える

一代でスポーツ用品メーカーを立ち上げ1.5流のメーカーまで大きくした、現在50代のおじさんだ

発想は常に飛び出して役員や幹部が振り回されている


そしてこの日も凄い企画が私達に伝えられた


「空飛ぶスポーツを考えてくれ」


一瞬青空に飛ぶUFOが横切った

飛行機業界にでも参入したいのか?

私は頭が肩につくくらい首をかしげた


「内容は?」

新事業部 部長の鳥海(ちょうかい)さんが訪ねると

「任せる」笑顔で丸投げされた

全員お地蔵さんの様に固まる

「取り敢えず予算は一億!それ以上かかる時は稟議をあげてくれ、宜しく」


金額的に真面目な話なのはよく解ったが社長との話は5分かからなかった


ここから約半年間 全員が企画書を作り社長へ持っていく


ワンマンな社長は中々首を縦には振らず頷かせる為に半年もかかった


半年も企画書を作っていると部署は無口になっていく

来る日も来る日も断られて、発想力の無さに心が悲鳴を上げた


今回了承を得た企画が思い付いたのは休みの日


テーマは「空」


近所の土手で空を見上げる 鳥が2羽くるくる回って遊ぶ

いっそ鳥になって飛んで逃げたい

そんな気分だった


遠く見えるスカイツリー あそこまで逃げるか

それとも晴れた日にしか見えない富士山まで行くかと現実逃避するが富士山の文字に社長を思い出す

私は妄想で富士山の噴火口跡に大きな岩を投げた


「なに難しい顔してんだよ」

旦那さんがコーヒーを買ってきてくれた

何があっても私には怒らない優しい人だ


私は愚痴った、黙って話は聞かない人で必ず

「いいね」「じゃあこうしてみては?」と必ずコメントしてくる

たまにウザイが有難い


でも今日はその言葉さえ聞かないで私はマシンガンの様に話した

散々話した私に旦那さんは笑って「スッキリした?言葉のキャッチボール出来ないの初めてだね」と言う

「あ、ごめん」

謝る私に旦那さんがいいのいいのと肩を叩く

「!」

何かが閃いた!何だ?

空 鳥 キャッチボール!叩く旦那!


私はスマホの録音機能に思い付くままの言葉を入れて行く、旦那さんは微笑んでそれを見ていた

こうして今から1年前に企画が通った


具現化しよう


研究員達は目的が決まれば動き出すのは早い

部長は段取りと経費を計算する

私は設計を皆に渡して出来た物を修正して組み立てる

人、物、摂理の理論データ解析を白馬さん♀と香久山さん♂がしてくれて

即実的効果を妙義さん♂と鷲嶺さん♀が行う

周りの部署から給料泥棒とか無能部署と陰口を叩かれた


会議でも鳥海部長は他の部長達から吊し上げされるが

それを一瞬で消したのは社長だった


ワンマンの強味、カリスマ性もそれなりにある人で言葉に説得力を持っている


それから掌を返すように私達には非協力だった人達が応援してくれるようになった


子供より単純じゃねーか


私はそう思った

でもそのお陰で出来た

1年で完成するとは思わなかった

みんな凄い人達だったと本気で感じた


-現在-


山梨県にあるF.S.T社の専用運動施設

屋内プールの水を抜いてもらい四方、上下にマットで壁を作ってもらった


「お忙しい中ありがとうございます」

頭をさげる鳥海部長に手を上げながらスーツ姿の富士山社長が入ってきた

まるで反社だ

全員がそう思った


「それでは社長真ん中へお願いいたします」

鳥海部長の案内で2人がプール中央へ行く


「それではお願いいたします」

掛け声に返事をして私達は機械を動かした

縦150㎝横90㎝のボックスが四方角に設置されていて

それらが動き出す

シュオーと音を立てると「お?お、おおー」

と社長と鳥海部長が宙へと浮き出す

5mほど浮いた社長の姿

ヒトデの様に両手両足を広げている


ヤバい反社が浮いてる、凧みたいだ

ヒトデ凧!

そう思うと笑いが込み上げてきた

でも笑えない、笑う場所じゃない

気を紛らすように 周りを見たら皆笑いを我慢している


それを見ていたら余計おかしい


「あは、アハハハハ」


社長は飛べたのが嬉しいのかまんべんの笑みで笑った

チャンス

研究者全員が笑った

鳥海部長も「良かった良かった」と宙で笑った

上と下では笑う意味が違ったが少し笑い声が続いた


「で、ここからどうするんだっけ?」

社長がみんなにドリンクを渡して聞いてくる

「ここからは私達が」

少し飲んだドリンクを下に置くと妙義さんと鷲嶺さんが中央へ向かった


センターホールと呼ばれる穴にハンドボールサイズのボールが置いてある

プシュッと音がするとボールが宙へ飛ぶ

追いかける様に2人が飛ぶ


ボールをキャッチした方が先攻


今回は鷲嶺さんがボールを取った

勢いで天井迄飛んでしまうがクルリと回り 天井を蹴りフィールドまで移動する

勢いに乗ってボールを壁にあるゴールポケットと言う穴へと投げる

床を蹴り飛んでキャッチした妙義さんが勢いで壁に飛ばされるが体を反転して壁を蹴って反対側のゴールポケットへと投げた


ボールがゴールへと入るとブブーとブブカの音でブザーが鳴って点数が入る


「これを5人組にしてチーム戦にして行きます」

ルールブックを社長へ渡す


社長は笑顔で中を見ながら

「安全性は?」と訪ねてきた

「フィールド内の重力は1.6M/S 地球の6分の1です、月とほぼ同じだと思ってください 

これに各年代別の平均体重、加力、衝撃影響値を乗せてプロテクターとヘルメット、シューズ、グローブを専用で作りました」別資料で白馬さんと香久山さんがユニフォーム案を渡す


「いいね、いいね」社長がワクワク顔になってくる

「資金的には?」

「機械事態は現行で1台2000万ちょっとですが、この先、マシンの量産と専用ユニフォーム等一式が普及されて販売されて行けばコストも押されられます」

鳥海部長が計算式を渡す


眺める社長

少しの間沈黙が続くとおもむろに電話を始めた


あと一億を私達の部署に追加資金

静岡にある会社の運動施設の改築を依頼した

嬉しくて、私達は顔を見合わせ口を手で抑えて笑った


電話を切った社長は

「これから、チームを2つ作ってPR試合をして世界中へ配信する、スポンサーやチーム参加者を募ってこれを一大スポーツにする」


そう言って次のプロジェクトが決まった

「スポーツ名はどうします?」

私がみんなに聞くと社長がドヤ顔で答えた


「MoonBattleStrike(ムーンバトルストライクM.B.Sだ」


長いしゲームみたいだと思ったが誰も何も言わなかった

この日を境に私達はチームを創るため動き出した

そして事業部名も新スポーツ開発事業部 改め MBS事業部に変わった


なんかとてもワクワクして楽しい日が始まる

この時はそう思っていた


人をまとめる事の大変さをまだ私は知らなかった







1話読んで頂き有難とうございます

感想、いいね等いただけると嬉しいです

宜しくお願いいたします。

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