お座布団でお昼寝したい
今年は花粉症の症状が落ち着きません。落ち着いて書けやしない。
ぽかぽかお日さまが遠ざかって行くの。
沈黙が痛いのは自分だけかなぁ。空気がピリピリするんだけど、と思考を明後日に飛ばした姫神様の前には二匹の猫。片方人型顔だけ猫。
うちの子、玉ちゃんと喫茶店の看板猫、ミケちゃん。三毛柄の毛並みは出産後とは思えない程艶やかで、やつれた感じもない。愛されてる証拠である。
おかしいなぁ、帰ったらお昼寝するはずだったのに。ミイちゃんケイちゃん、華鈴華南ともふもふツヤツヤ縁側で、ぽかぽかお日さまお休みなさい、てな。
どこ行った、幸せお昼寝ライフ。こんにちはキャットファイト。え、マジで?
みゃぁ(今日はアポもなしにお邪魔してごめんにゃさい)
先陣を切ったのはミケちゃん。あれ、謝罪? キャットファイトどこ行った?
「いえ、それはかまいません。あの、ミケさん。お子さんは大丈夫ですか?」
みゃぁ(少しにゃらご主人様が見てくれるにょで)
「そうですか。では、ご用件を伺います」
みゃぁ(今日は、玉さんにお詫びをと)
「アレのことなら詫びは不要ですよ? 元々野良ですし」
玉ちゃんのコメカミがピクリと動いた気がする。気のせいだよね、猫だしもふもふだし。
みゃぁ(でも、玉さんのこと知ってたら受けにゃかったもの。あの猫そんにゃこと一言も言わないで)
「「あー……」」
ふんす、と鼻息をついたミケちゃんに、姫神様と玉ちゃんのため息がかぶる。
「あの阿呆、ミケちゃんが自分の子を産んだのも知らんかったみたいだしなぁ」
みゃぁ(え? マジで?)
「あー、アレはいつも種付けだけでしたからねぇ」
ヤダなにそれ女の敵。
「アレに絆されてたのが一生の不覚ですねぇ」
みゃぁ(にゃんてこと。だからちっとも会いに来にゃいのね)
「一応知らせといたんだが」
みゃぁ(姫神様にはお手数おかけしますにゃ)
「ミケさん。私は姫神様にアレとの縁切りを願いました。私の子達はとうの昔に独り立ちしましたし、これからは姫神様をお支えして参ります。ですから、謝罪はなくていいのです。お身体を大事に子育てなさって下さい」
みゃぁ(お優しいお言葉ありがとうございますにゃ。でも、私もアレとは縁切りするつもりですにゃ)
「いいのですか?」
みゃぁ(そりゃ、できればお婿さんとも思いましたけど、あっちにふらふらこっちにふらふらする雄なんていりませんし)
「「ですよねー」」
よし、神様権限であちこちの壁に頭ぶつけるよう祈ってやろう。
みゃぁ(子供達は、玉さんのようにゃ立派にゃ子に育てますにゃ)
「貴女なら立派に育てられましょう。気張らず、周りの助けをお借り下さい」
みゃぁ(ありがとうございます)
ペコリと頭を下げて、ミケちゃんは帰って行った。
心配なのでクウちゃんをお供につけた。人型猫が猫を抱っこして去って行く。かーわーいーいー! ほっこりである。
「母猫は強しだよ、玉ちゃん」
「はい、そうですね。……アレのを潰しておけばよかった」
心からの後悔溢れる一言に「雌猫に逃げられる」よう祈りを追加した姫神様だったとさ。
皆さま卒業おめでとうございます! 新たな門出に幸あれ!