コンソラータ2
コンソラータの細いあごが動き、ぽってりとした小さな唇が声を奏でる。
私はそれを、からくり人形が動くのに似ていると感じて、ぼうと見つめていた。
「……アーネ、リリアーネ!」
ロゼが私を揺らす、ハッとしてロゼを見てから、マダムを見て、そしてコンソラータを見た。
「す、すみません……」
「いえ、あなたは、何をご希望?」
私はスゥっと息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出して、それからコンソラータに伝えた。
「私は、仕事運を。これから私、自分で働いて暮らして行きたいので」
コンソラータは大きな緑の瞳で私をじっと見つめた。
「あなたは貴族のお嬢様でしょうに、自分で働くだなんて」
「……これからの時代は、違ってくるのでは」
私のその言葉にロゼもうなずいた。
「なるほど」
コンソラータは両手を合わせて祈りをささげるようにした。
そして、ぶつぶつと何かを唱え、ふと両手を開いて小さな炎を出した。
炎の色は赤、先ほどと違う色に驚いて目が丸くなる。
じっと見ていると、その炎はやはり生き物のように動いて水晶に引き込まれていった。
「リリアーネ嬢、あなたの仕事はなかなか良いわ、案外才能豊かなのね。そして、良い環境に恵まれるわ」
「まあ、よかった……」
私はほっと胸をなでおろした。
せっかくビュフェ子爵が用意してくださったお仕事、頑張らなければと、そう心に誓う。
「それから……あなた燃えるような恋をするわね。そして、その方と結ばれて……そうね……ここではないどこか。遠くに行くわ」
ロゼが短い叫び声をあげて口を両手で抑える、私は二の句が継げずにいた。
「ふふ……余計なことだったかしら?」
コンソラータの悪戯っぽい笑みに、私はひきつった顔で見つめ返すしかできない。
恋……恋ですって?!
胸の中に浮かんだのは、黒づくめの……ヴァルベル。
顔に熱が集まってくる。
「いえ……そんなことは……でも、私そんな余裕はありませんの」
「恋は落ちるもの、と、そういうでしょう? 忙しいから、そんな気分じゃないから、など、こちらのことはお構いなしにやってくるものなのよ」
コンソラータの言葉は続く。
「リリアーネ嬢も、ロゼ嬢も、努力しだい、ぜひとも、頑張ってくださいな」
「「ありがとうございます。」」
私たちの声は揃った。
思わず頭を下げたままお互いの顔を見合わせる。
「仲がよろしいのね。さすがいとこ同士……というか。そうね。あなた方は前世では姉妹だったのかもしれないわ、縁の強さを感じる」
「え、そうなのですか?」
「前世……」
教会では、『前世』は否定されている。
だが、私たちの認識でも、確かにそれはあると感じられる。
多少なりとも魔力があると、感じるものがあるのだ。
だけど、こんな風に断言されることはめったにないこと、不思議な気持ちになって、つい黙ってしまった。
「ああ、それからリリアーネ嬢、あなた人目を忍んでいるのね?」
「え?」
その言葉にマダムが腰を浮かせた。
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