第2話 魂の主導者
俺はアルティス・ノルドバードとしてこの世に誕生した。
まず俺がこの世に生まれることになった経緯について説明しよと思う。
俺は一条誠という名前で日本で生活していた。名前を聞いたらほとんどの人が優秀と答えるような高校に通っていて学校でもそこそこいい順位にいて、友達も人並みにおり、順風満帆な生活をしていた。
俺の両親はケーキ屋を経営しており、とても美味しいいと街で評判だ。
ある日俺は両親に食材の買い物を頼まれ食材を買い家に帰るところだった。
大きな道路で信号が赤になりそうにも関わらず、急いでいるのか分からないが猛スピードで道路を突っ切って来る大型の車がいた。
しかし、そこに横断歩道が青になったので渡ってしまった小学生らしき子どもがいて、「危ない!!」と言いながら子どもを突き飛ばし自らが犠牲になりながらも助けたのだった。
死ぬ間際は意外にもあっけなく「あ、死んだ。」と思った頃にはもう視界が暗転していた。
しばらくして気がつくと辺り一面まっさらで真っ白な空間にいた。ここが噂に聞く天国とやらなのだろうか。
「あれ?ここはいったいどこだ?」
「生命の魂が辿り着く終着点さ。」
どこからか男か女か分からないような中性的な声が聴こえる。姿は見えない。
「あなたはいったい?」
「僕は生命の魂の主導者みたいなものさ。寿命、病気以外で亡くなった生命の魂の今後の処遇を決めるんだ。君は事故によって死んでしまったようだね。」
神様のような存在なのだろうか。
「はい、その通りですが俺は一体どのような処遇になるのでしょう?」
死ぬ前は悪い事をした覚えはないが心配だ。
「君には選択する権利がある。そのまま魂を消滅させ、元の世界に新しい生命として誕生するか、新しい世界へと行き、新しい生命に宿るか...君はどちらを選択する?元の世界に誕生する場合必ず記憶は無くなるけどね」
「新しい生命に宿るとは、転生ということでしょうか?」
「まぁそうなるよ」
「では転生でお願いします。」
俺は即答する。人並みに異世界小説などを読んでいたのでこういうものには憧れていたのだ。
「いいのかい?そんなに早く決めてしまって」
「はい、未練がないということはありませんが憧れていたので」
「君が行く世界は魔力がある世界のようだね。前とはかなり違い常に危険と隣り合わせの世界のようだ」
「行く世界はもう決まっているんですか?」
「うん、決まっているよ。なぜなら君と同じような転生者が同じ世界に転生するのを防ぐためだ」
「なるほど。では、転生した場合今の記憶は残っているのでしょうか?」
俺は今まで疑問に思っていたことを口にする。
「それは君次第さ。魂の意思が深く刻まれていれば記憶は残るはずさ。」
「そうですか」
すると自分の視界が徐々に光ってくる。
「どうやらここに居られる時間もわずかのようだね。次の人生悔いのないように生きなさい。」
その声が終わるとともに意識が遠のいた。