眼鏡の向こう側(ラブコメ)
「君の眼鏡の向こう側が見たいんだ」
そのセリフを言った瞬間、自分がひどく気持ちの悪いことを言ったことに気づいて、俺は赤面した。
彼女もそう思ったのだろう。うつむいて肩を震わせている。
そして案の定。
「気持ち悪いです」
と彼女は言った。
玉砕だ。
ここまで清々しい玉砕もないだろう。まさに、砕かれ。俺の心はブロークンハートだ。気持ち悪い。
ともかく、これ以上はもうこの場にいるのも恥ずかしかった。
逃げ出したい。
そう思うのに、どういうわけか、彼女が俺の制服の裾を握りしめている。
こんな往来で告白した俺が悪い。悪いが、気持ち悪いなんて言葉でふっておいて、この上俺をここに縛り付け辱めようなんて、なんてひどい女だ。
と先程まで好きで仕方なかった彼女をそしる。
でも、その素顔がみたくて、いつもうつむいている彼女が時々みせる笑顔が大好きで、そんな俺は今でも彼女が好きだった。
だからやっぱり「かわいい」と内心思ってしまう。
彼女を心のうちで罵倒した俺を心から殴りたい。
そんなことを思っていたら、彼女がこちらを下から見上げていた。
なんだろう。
クソっ! かわいいな。
「あの」
なんだって言うんだろう。
俺をこれ以上辱めないでくれ。
「もし、もしですけど」
なんだんだ!早くしてくれ!
「もしよければ……」
……よければ?
「お友達からどうでしょうか」
「ぜひ」
ああ、やぱり彼女は優しい子だ。
たとえ堂々と「気持ち悪いです」と、その後何度も言われることになったとしても。
君が好きだ。




