信頼性処女
まさかの2日連続更新です。
アクセスが欲しいです。
健太と別れ、平林桜がいるグループの席に座る。
「久しぶりだな、平林」
「そっ、そうだね...。神谷くん同じ大学だったんだ..」
そういうと平林は俺から気まずそうに目を逸らした。目を逸らされたのには理由がある。健太には話さなかった理由が。
それは高校1年生、入学式の時の話である。
俺は新しい高校生活に胸を高鳴らせていた。そして当時の俺は...重度の処女厨であった。
「ただの女性に興味はありません。黒髪ロング、清楚系、そして処女膜がついている人は俺のもとに来なさい」
それ以降、俺に話しかけてくる人は誰もいなかった。それは無論、平林も例外ではない。
それから半年ほどして男子からはいじられキャラとして地位を得た俺であったが、2年と半年ついには卒業まで女子と会話することはなかった。
つまり平林桜は俺が処女厨であることを知っている。それならば話は早い。
「それでは皆さん、工学における信頼性について話し合いを始めてください」
各地で話し合いが始まり、周りが騒がしくなってくる。
俺たちのグループでも一人の男が口を開いた。
「それじゃあ僕らも話し合いを始めようか」
「ああ、そうだな」
もう一人の男が相槌を打つ。平林も続く。
「えっと...話し合いのお題は...」
すかさず俺が口を開く。
「...話し合いのお題は処女における信頼性であってる??」
「....は??」
俺たちのグループだけ空気が凍る。
「ちょっと君...何言ってるんだい?」
「そのままんだ。話し合いのお題は処女における信頼性だろ?」
「全然ちげぇよ、てか処女における信頼性って何だよ」
「処女における信頼性をご存知ない!?お前、これまでなんの講義聴いてきたんだよ!?」
「信頼性工学だよッ!!これまで一度も処女の話なんて出てきてねぇわ!!」
男が思わず声を荒げる。"処女"という予期せぬワードに周りのグループもざわざわし始めた。
「えっ、そうだっけ??なぁ、平林。お前はどっちだと思う?信頼性工学か信頼性処女か」
「...えっ!私は...えっとぉ、信頼性工学だと...」
「ッ!そうか!やっぱ平林も信頼性処女だと思うよな!!」
「....ち、違う!!信頼性しょ...しょじょとか言ってない!」
平林は赤面しながら俺にそう反論してきた。顔は恥ずかしそうにずっと下の方を向いている。
「おい、お前!!ふざけるのもいい加減に...ッ!!」
男はこちらに明らかな敵意をに向けてきた。
...ここら辺が潮時だな。
「...ああ、悪かった。工学における信頼性だったよな、俺が勘違いしてたよ」
「...ッ、まぁ、分かったならいい」
どうやったら工学と処女を勘違いするんだよ、とは流石に言われなかった。
そこからは先程までの一波乱が嘘であったかのように話し合いはスムーズに進み、終わり際には平林もいつもの表情を取り戻していた。
「それでは講義はこれで終わります」
先生の言葉を境にグループは解散され各自散らばって行く。去り際に同じグループの男に睨まれた気がした。怖。
「まったく驚いたぜ、神谷。いきなり信頼性処女なんてよ」
「ふっ、まぁな」
「何が俺は落ちぶれてねぇ、だ。見事な自由落下だったぜ」
「だが、成果はあった」
俺の言葉に健太は驚き立ち止まる。
「あったのか!?成果!?あんなのでか!?」
「ああ、勿論だ...!!」
「それで...ど、どうだったんだ??」
「一つ言えるのは、今や俺の処女センサーはビンビンのギンギンってことだけよ」
「気持ちわりぃ表現だな」
半ば呆れつつも健太と俺はお互いに数秒見つめ合い、そしてお互いに熱い握手を交わした。俺たちに言葉は不要だ。
つまり、平林桜は処女である...ッ!!
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処女膜に対する熱い思いでも作者は一向に構わんッ