経緯と行為。
いやまて、どうしてこうなった。時は数分前に遡る。
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「暑いな.....」
買った弁当を片手に206号室に繋がる階段を登る。気づけばもう6月下旬である。そりゃ暑いのも納得だ。
(ガラガラガラガラ)
クーラの効いた部屋を期待しつつ、206講義室の扉を開ける。しかしその期待は裏切られ、講義室はとんでもない熱気に満ちていた。
「あっつ....!! おい健太、お前なんでクーラーつけt....」
思考が停止する。一体これはどうなっているんだ。
「.....神谷ぁ.... 」
俺の目線の先にはこの暑い部屋で正座している男、平林健太の姿。健太が着ている白Tには大量の汗が滲んでいる。いや、そんな事はこの際どうでもいい。
意味がわからないのはその男の先で腕を組んでいる女の姿だ。
「やっと来たわね。工学部情報コース1回生の神谷宗次郎くん」
一体何者だ、こいつは。どうして俺の事を知っている。いやそもそも何故こんな所にいる?動揺している俺の顔をみて彼女はニヤリと笑う。
「一体何者だ、こいつは。どうして俺の事を知っている。いやそもそも何故こんな所にいる?って感じの顔をしているわね」
エスパーかこいつは。
「いいわ、教えてあげる。私の名前は鬼龍院美月。あなた達に頼みたい事があって来たの」
「ふざけんじゃねぇ。まったく説明になってないぞ。何故この場所を知ってる。てかなんで健太は正座させられているんだ...!!」
「....やめろ神谷ッ!!その女に口答えしちゃだめだ....!!」
それまで黙っていた健太が焦ったように口を開いた。健太がそんな事を言うなんて。一体何がどうなってやがる。
「なに簡単なこと、その男は私に屈したの。口答えすればあなた達の極秘情報を大学内にばら撒くよう脅してる」
「俺達の極秘情報....だと??何言ってやがる」
そもそも俺にはそんな極秘情報など存在しない。健太の方は知らんが。
「....神谷宗次郎は...処女厨である」
「.....!!」
こいつ何故俺が処女厨であると知っている?だが、残念だったな。俺はその程度じゃ屈しないぜ。
「おいおい、まさかそれが俺達の極秘情報ってやつか??確かに俺は処女厨だ。けどな、その程度の情報大学内にばら撒かれてもどうってことない」
「...ふぅん。まぁこの程度で屈するとは元々思ってないわ。実際そこの男もそうだったし」
大した自信だな。だがしかしこの俺に死角はない...はずである。いや、まてよ?もしやあれか?万が一この鬼龍院という女があの事を知っていたら??いやいや、そんな事あり得るはずが...。
「神谷宗次郎は大学1階の多目的トイレでオ○ニーするのが日課である」
「なぁぜしっているぅぅぅぅぅぅぅぅっぅぅううううううう!!」
思わず絶句してしまう俺。いやマジで何故知ってるんだ。
「....神谷、お前!!前からやべぇ奴だとは思ってたが、まさかそこまでだったとは..」
「.......ッ!!認めよう...鬼龍院。お前の情報収集能力は一級品だ。だがな、そんな情報をばら撒いた所で一体誰が本気にする」
「誰も信じないでしょうね。"証拠がなければ"だけど」
「まさか"証拠"があるとでも....??」
馬鹿な。そんな事はあり得ない。俺の証拠隠滅は完璧であったはずである。
「5月17日から3日間。東館1階の多目的トイレが使えなかった筈だけど覚えているかしら??」
5月17日....。正確な日付こそ覚えていないが、確かに3日間多目的トイレが使用禁止になっていた...。
「それがどうしたと言うんだ」
「天井やゴミ箱の中。正面扉に便座の下。計10個の隠しカメラを設置させていただいたわ」
「....なんっ...だと...!?」
「信じられないなら今すぐ多目的トイレを確認してきたら?極小の隠しカメラが設置されてるわよ。まぁあなたに見つけられる程甘い隠し方はしてないけれど....」
「ふざけんじゃねぇ!!俺は信じねぇぞ!!いやむしろ信じたくねぇ!!」
「そ、じゃあこれを見てもらうのが早いかしらね」
彼女はゴソゴソと鞄からおもむろにスマートフォンを取り出す。画面を操作し手が止まったと思ったら、その画面を俺に見えるようにこちらに向けた。
そこに写っていたのは....
『はっはっはっはっ....!!オラオラオラオラァ!!ここが気持ちいいのかなぁ!?!?』
人妻をNTRるシチュエーションを想像しながら自虐行為をしている男子大学生の姿であった。
「勝負あったわね...!!」
勝ち誇った鬼龍院の顔。ここまでかと云わんばかりに悔しげな健太。ミンミンと鳴くセミの声。そして無慈悲に流れる俺のオ○ニー動画。
「....何が望みでしょうか...鬼龍院さん..」
健太の横に正座しながら俺は言った。そんな俺を見ながら彼女は自信満々に言う。
「あなた達には処女防衛サークルを作ってもらうわ!口答えすれば分かるわよね??」
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