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第七話 家を作ろう(二回目)

ブクマ登録や感想ありがとうございます。本当に励みになります。

「いや~、掘った掘った」


 拠点を移してから一か月が過ぎた。 


 この間、俺は動ける時はただひたすらピッケルを振り採掘を続け大量の鉱石を手に入れた。


 同じ種類のアイテムは×100までしかアイテムボックス内に仕舞えないため、余剰分は洞窟から一番近くに流れる川との中間地点の木々を切り倒し作った集積地にまとめ置きしている。


 その量が、かなり溜まったので、ここで一度採掘を止めて成果を確認してみることにした。



 集積地に赴くと、黒や灰色で、サッカーボールくらいの大きさをしたブロックが積み重なったものが、いくつもできている。


 これらの大量のブロックは、鉱石関係の資源を五種類集めたら解放されたブロック化という機能を使って形を変えた鉱石達だ。


 新しく発現したブロック化という機能は、掘った時点では形の違う鉱石を種類ごとにブロック状に変えるという便利な機能である。


 何せ、ブロックの形にすれば、そのままでも壁などの建材代わりになるし、掘った鉱石を圧縮することもできるため、アイテムボックスの圧迫を防げるのだ。


 どういうことかというと、採掘して採れる鉱石のほとんどが岩石だったため、すぐにカウントが×100に達してしまう。なので、初めの内は、岩石が×100になる度に洞窟の外に出て捨てる羽目になったのだが、ブロック化機能の解放と共にその無駄な労力は大幅に緩和された。


『ブロック化機能が解放されました。同種類の鉱物資源を×100集めると、ブロック×1に変換できるようになります。またブロック化したアイテムは、空きがあればアイテムボックス内で元に戻すことが可能です』


 これにより岩石×100をその場で岩石ブロック×1に変えることができるようになり、その結果、同じ種類の鉱物は、×10000分追加でアイテムボックス内に収納できるようになった。


 このようにして、採掘速度は格段に上昇、短期間で膨大な量の鉱物の入手に成功したのだった。そしてそれでも余った膨大な鉱石はこうして集積地に保管されているのだ。




 

 積み重なっているブロックの数を確認した俺は集積地の傍の木々を切り倒し、居住用の区画を設けた。


 鉱物以外にもこの一か月で多くのレシピが解放されている。新たに作れるもののお披露目も兼ねていることもあり、俺の心の中は、ついにこの時が来たかと期待に胸を膨らませてた。


「よし、それじゃ、色々と作りますか」


 まずは、最初に作るのは、安全に寝泊まりするための家だ。今まで建造できたのは粗末な掘っ建て小屋のみだったが、今は違う。


 これまでは木材しかなかったため解放されなかった建造物のレシピが、鉱物やブロック化機能の解放により大量に使えるようになっており、現在は、従来の掘っ立て小屋に加えて、石の家、木造住居(下)、二階建て木造住居(下)、倉庫などが解放されている。


 なので、一つずつ建築してみることにする。


 最初に建築したのは石の家だ。石の家は、一言で表すならば、石で作られたかまくらのような建造物で、壁から屋根まで全て石で作られていた。個人的には、古い歴史を感じる物珍しい住居だったが、窓はなく床も土なのが、ネックだった。


 次に石の家を収納せずに、隣に木造住居(下)を建てみた。


 建築する前から(下)とついてことから、あまり上質な造りではないのだろうなと予想していたが、その通りだった。


 一部に石材が使われているが、大部分は簡単な木造の造りで、床は石の家と同じく土、例えるならば、中世ヨーロッパ頃の貧しい農民や庶民が住んでそうなイメージの家だった。


 日本に住んでいた時のボロアパートの方がまだ数段ましだが、評価すべき点はある。


 それは居間と寝室と二部屋あることだ。寝室以外の部屋があるのは素直に嬉しい。しかし、その分家は大きくなり使用する建材の数や種類は、これまでの二種よりも桁が二つ違うということと、窓はあるがガラスがないので吹き通しになっているのは気になった。


 そして二階建て住居(下)。これは、木造住居(下)が二階建ての家屋になったと考えればいいだろうか。一階部分は壁による区分けがなく広いため、お店として使えるかもしれない。


 内部にある階段を昇っていける二階部分は木造住居(下)をそのまま持ってきたような感じの空間だったが、床が木の板であるのは高評価だ。


 一階で商売をして二階で生活をする。そんな感じの目的で使われる建造物だと俺は推察した。


 最後に残った倉庫に関しては、アイテムボックスがあるため一度保留にして、取りあえず、これから住む家を決めよう。


 と熟考タイムに入るかと思ったが、家の中を土足で暮らすのは肌に合わないため、床が木の板である二階建て木造住居一択だった。



 そうと決まれば、どんどん行こう。


 建築済みの二階建て住居の階段を登り、二階に着いた俺は次々に家具を作成し配置していく。


 椅子、テーブル、ボロ布のベット、そして忘れてはならないのがランプだ。


 様々な発見と新たな素材を手にいれたが、それでもここにきて一番の収穫は、間違いなく火だと断言できる。 


 そう採掘に入手した石炭や火打石などを用いてついに火を手に入れたのだ。


 これにより、腐る前に回収し生肉と認識されていたゴブリン肉をそれなりに美味しく頂けるようになり、食生活は大きく改善していた。


 今のところは、ランプやたいまつなどの明かりの作成にしか使っていないが、これからもっとも活用されることになるだろう。


 ランプを置いた後、現状で作れるものは一通り置いてみたが、これだけやっても、日本で一人暮らしをしていた時と比べれば雲泥の差ではあるものの、ようやく人間らしい生活を送れると少しだけ安堵した。




 さぁ、住むところはこれで大体できたが、まだ重要なことが残っている。ゴブリン対策だ。


 俺は現時点で行える総力を結集して、この居住区画の防衛体制を整える。


 第一に行ったのは、この住処を守る壁だ。


 バリケードの時代は終わった。これからは石のブロックを利用して造る石壁の出番だ。


 石のブロック×10、即ち岩石×1000で作れる城壁のようなデザインをした幅5メートル高さ10メートルの石壁を、隙間なく繋げて居住区画を守る壁を築いていく。


 石壁の耐久度は既に実験済みで、これまでのバリケードや木の壁では大勢のゴブリンが押し寄せれば倒れることがあったが、強度が桁違いに向上したこの石壁を実験中にゴブリンが破壊することはできなかった。


 それにバリケードのように、足を引っかけて登る隙間などもない。



 居住区画を石壁で囲った後、今度は壁の外側の地面に、大量の毒のまきびしをばら撒く。鉄鉱石から作成できるまきびしは踏むとゴブリンにダメージを与えるが、それだけでは倒すまでには至らない。


 なので明かりを手にしたことで探検が可能になった洞窟内で採取できた毒キノコから作成した毒のエキスと混ぜ合わせて作った毒のまきびしの出番だ。


 まきびしを踏んだゴブリンは毒が全身に回り約五分ほどで息絶える。念願だった、初となる自分で戦わなくても相手を倒せる手段の確保に成功したのだ。


 勿論、まきびしに触れば俺も毒の影響を受けると思うが、アイテムボックスから取り出す時は、周囲5メートル以内の好きな場所に設置できるので、直接触れる心配はない。


 ついでに地面にばら撒くだけでは不安なので、石壁にもめり込ませておこう。


 まあ、ゴブリンはしぶとい癖に学習する生き物なので、流石に何度も使える手段とは思っていないが、それでもしばらくは、石壁と毒のまきびしのコンボで平穏な夜を手に入れられるだろう。というか心の底からそうなる事を願った。



 そして、夜が来て明日が来た。新たな我が家である二階建て木造建築で目覚めた俺は、この時点で勝利を確信しつつも、恐る恐る城壁に登り、その下に広がるゴブリン達の死体の山を目撃し、正真正銘の勝利を掴み、ガッツポーズを取った。


 長かった。だが遂に世界に来て一か月で、俺はまともに夜に睡眠を取る事に成功したのだった。



 今日この日こそが、俺の異世界生活の始まりの日だ。


 あまりの嬉しさから、俺は天高くに喜びの声を張り上げた。







「おい、どういう事だ。俺は夢を見ているのか」


 故郷を追われてイスラの森に迷い込んだ一人の男は仲間から離れて一人で偵察中に、絶対に建造物を建てる事は出来ないと言われていたイスラの森の中で、城壁のようなものに囲まれた一角を発見した。


 最初は幻覚かと思ったが、城壁の周囲には無数のゴブリンの死体が散らばっており、ゴブリン達があの壁を越えられなかった事を示していたから、これは現実だと確信を持ち、仲間に伝えるために急いでその場を後にした。


 イスラの森には、何らかの事情で故郷を追われた人間達がゴブリンの襲撃に怯えながら日々暮らしている。


 この森に家や砦を建てることは不可能なため、昼間に食料を集め睡眠を取り英気を養い、夜は一晩中ゴブリン達との戦闘に明け暮れる日々を繰り返すしか人間に取れる選択肢はない。


 戦いの毎日だ。安全地帯もなく、弱い者、疲れた者から死んでいく。それがこの森の日常だった。


 それだけに、戻ってきた男の目撃談は、口伝えで森中で疲弊しきった多くの人々の耳に届いたが、あまりにも現実味がなかったために、ほとんどが懐疑的だった。



 帝国ですら失敗したのに、ゴブリンを撃退できるほど、しっかりした安全地帯をこの森の中に作れるはずがない。



 男が発見したものはありえないものだと、多くの人間が与太話の類であると心の底からは信じなかった。



 しかしそれでも安住の地を求めて、いくつかのグループは天田要の下へと歩み出し始めた。



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