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私の友人(桃花)

作者: 狼花

 「よう彩音。図書室で何読んでるの?」

「あ、桃花ちゃん」

彩音は物静かな女の子で典型的な文学女子。

地味でいつも教室の隅っこで本を読んでいて、

昼休みは確実と言っていいほどこの図書室にいる。


 「今はこの本、と言うより図鑑なんだけど」

見ているのは植物図鑑だった。

・・・この間は水質がどうとかの本だったっけ・・・

彩音は難しい本をよく読んでいる。

正直、気味が悪いなと思うこともあるんだけど

その豊富な知識ゆえに金魚や動物の世話がすごくうまい。


 彩音は学校のいきものがかりなんだけど。

水槽の水換えとかすごく気を配っているから、

いつも水槽が綺麗なんだ。

先生や私が水換えしようとしたら

「カルキ抜きしてないから入れないで」

と怒られたことがあって。

まぁ、怒ると言うかやんわり注意されたんだけど。

話を聞いてもバクテリアとか塩素とか言われてわからなくなって

(先生も勉強する羽目になったほどだ。)

・・・専門用語をまず説明して頂きたいと思ったね・・・


 でも、それを言うと先生もすごいんだ。

普通だったら彩音に生き物の世話全部丸投げするんだけど

(彩音が休んだ時に死んだり病気になったら

   生き物が死ぬのはしょうがないと言うんだ……)

うちの担任は彩音の話をよく聞いたり、自分で調べたりして

水質のこととか水の汚れのこととか金魚はもちろん

外で飼ってる鶏や、植えた朝顔や他のクラスが作ってる野菜とか

飼育や植物の発育の仕方など勉強したらしい。

(それでも彩音の方が詳しいみたいなんだけど……)

だから彩音も自分が休みの日も先生がいるから安心して休めるらしい。

・・・2人して水温とかすごく気にしているからね・・・

なんか水温って魚にとっては大事なんだって。

がちむちの体育会系の男性教師が生き物の世話をしているのはギャップがすごい。

(クレヨンしんちゃんに出てくる園長先生みたいな人なんだ)


 まぁ、そんなことは置いといて。

長々と彩音の紹介になったけど

「ちゃんと転スラにした?」

「あ、それなんだけど最近出た小説で面白いのがあって」

うちの学校はひと月に一回。生徒にアンケートをとって本を補充するんだけど

小説ならなんでもいいので、ラノベとかでも大丈夫なんだ。

私と彩音は漫画や小説で意気投合して仲良くなって

どうせ見たいのが一緒なら2人でまとめて入れたほうがいいじゃんと言うことで

協定を結んでいる。

同じタイトルで一緒にアンケートに入れる。

一冊好きな本が手に入れば他の本にお金を回せるでしょ?

大人は経済力あるからいいと思うけど私たちはこうやって

一冊の本を買うのも苦労してるんだ。

(分厚い小説の本はね千円超えるんだよ!)

で、友達だから当然遊ぶ予定も立てる。


 「でね。この作者の人が書いてる本が他にもあって今度

   買うから読みに来ない?」

「行く。ついでにうちのお菓子も持って行こうじゃないか。

  コンビニの限定スイーツもあるよ。」

「あ、ポテトチップスは本が汚れるからやめてね」

「じゃあ飴とクッキーにしよう」

「飲み物はいいよ。桃花ちゃんが好きな炭酸。確保しとくから」

さすが、わかってる。

こうやってね、一緒の趣味を分かち合える友人は貴重なわけなんですよ。


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