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認定士シリーズ

そして勇者は……

掲載日:2018/07/11

「アルス=スミス!

お前をパーティから追放する!」


「そんな!勇者さま!」


ボクはたった今、勇者から追放宣言を受けました。


「お前は剣を使えない!斧も持てない!槍も使えない!魔法も唱えられない!

荷物持ちにすらなれないどころか、パーティのお荷物なんだよ!

お前を庇ったために召喚士はパーティを抜けてしまったんだぞ!」


「しかし!ボクをパーティに入れなさったのは国王陛下です!」


「うるさい!

これから先、魔王を倒して俺たちは英雄になるんだ!

なにもできないお前は英雄になる権利などない!

役立たずのお前など魔物の餌にするところを、聖女たちのお情けで町のすぐそばでの追放にしてやったんだ!

感謝されこそ恨まれる筋合いはない!

二度と顔を見せるな!」


勇者はボクの襟をつかんでそう怒鳴ると、門に向けて投げつけた。


「…うぅ…あんなやつ…勇者じゃ…な……い………」


そう言ってボクは気を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「陛下、質問がございます!」


その頃王宮で国王と宰相が話し合っていた。


「どうした騎士団長?」


「なぜあのような貧弱な男が魔王討伐パーティに組み込まれたのですか?

あのような者を入れるくらいならば、うちの新人のほうがよほど戦力になりませんか?」


「そう言えば彼には説明していませんでしたね」

「そうであったな。

あの若者は『認定士』なのだよ」


「鑑定士ですか?

鑑定能力ならば、魔法使いと治癒術士が使えたはず…」


「いや、『認定士』だ。宰相」


国王が視線で指示すると、宰相はとなりの部屋から王冠を持ってきた。

それには、拳大のルビーが嵌め込まれていた。


「このルビーなのだが、元はただの石ころだったと言ったら信じるかね?」


「石ころ…ですか?

まぁ、宝石といえども、採掘されて人に原石だと認められるまでは…」


「いやそう言うことではない。

このルビーは元々、一万人に見せたら一万人が

道端に落ちているようなただの石ころだと答えるような、価値の無いものだったのだよ」


騎士団長は豆鉄砲を食らった鳩のような表情をした。


「信じられぬのも無理はない」

「あの若者に、その石ころをルビーであると『認めさせた』ところ、このように美しい宝石になったのですよ」


騎士団長は王冠の宝石と、国王と宰相の顔を交互に見ながら、次の言葉を待つしかできなかった。


「私も陛下も数年前まで知らなかったのですが、『認定士』は勇者以上に希有なジョブでして、認めた「こと」が現実になるというスキルを備えているのです。


記録によると前回現れたのは建国前、2000年以上昔になります」


そう言って宰相は王冠をとなりの部屋へ戻しにいった。


「強力なスキルではあるのだが、「認め」の誘導が難しくてな。いくらか試したのだが、成功例はアレひとつだ、

失敗例ならたくさんあるぞ、石ころになった宝石とかな」


「そんな扱いにくい人物をなぜ!」


その疑問には戻ってきた宰相が答えた。

「表向きは陛下が指名したことになっておりますが、勇者以外のメンバーは『彼』が『認めた』のですよ。


おかしいと思いませんでした?

あのメンバーはそこそこ優秀ではありますが、『一流』が1人もいないことに」


騎士団長が思い返してみれば、あのメンバーに入った剣士は、騎士団の中では中堅の実力であった。

国王が選別したのならば、あの剣士は決して選ばれない。

魔法使いも同じ。


治癒術士は神殿では上から数えた方が早い実力ではあるが、一流かと言われると肯定し難い。


しかし報告によると「彼」を除く彼らは、勇者の足を引っ張るどころか、善戦し続けている。


「初代国王は、認定士と共に国を起こしたそうだ。

故に我らは『彼』にかけているのだよ」


ーーーーーーーーーーーーーーー


一週間後、となりの村にたどり着いた勇者たちは、

勇者だけが満身創痍であった。


「ぐっ…なぜだ!オレは勇者のはず…

なぜ聖剣が抜けなくなったんだ!?

なぜスキルが発動しない!?」


宿場についた後、手当てのために勇者の服を脱がした剣士は…


「な……勇者の聖痕が…!」


ーーーーーーーーーーーーーーー


その四日前、町の治療院にてアルスは目を覚ました。


「やっと起きたか、三日も眠ってたんだぞ」

「召喚士さん、ご心配おかけしてすみません」

「気にしない、気にしない。

頭打ってたみたいだし、変に悩むと治りが遅くなっちゃうぞ!」


(いい人だなぁ……この人が勇者だったら良かったのに…

いや、そうに決まってる!

きっと神様は間違えたんだ!

召喚士さんこそが『勇者』なんだ!)


聖剣が新たな主に出会うのはそれから一ヶ月後のこと。

アルスは自分が『認定士』だとは知りません。


続きはありません、多分…

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど。夏ごろに流行った「追放されたやつが実は有能でした~」って話に、昔話チックなテイストを上手く融合させてますね! [一言] 「勇者が主人公に優しくしてあげれば認定は取り消されなかった…
[一言] 他の人への感想返しに対してのレス失礼します >続きや前日談の構想はあるので、時間があれば書こうと思ってるのですが、書かない方がいいですか? でおまけに内容も失礼なのですが先に謝っておきます…
[一言] なんでも承認してしまう歩く認印 みたいな認定師だったら恐ろしい事になるので、これはこれでOK? 少なくとも本人や世間には教えられんよな、このジョブ自体。 『世界の書き換え』能力とか危険性が…
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