Home Town 8
「ありました、これですね。」
神殿の周りにある墓から小さな袋を持ち上げるシン。宿屋の主人が忘れ物をしたという話を聞いて彼がとってくると名乗り出たのだ。主人は老人であったし、一希に伝言するため、外にでるため一緒にやってこようということだった。小袋に何が入っているのかは分からないが、持ち上げるとからからと何かが動く音がする。
「おや、あれは...」
彼が帰路に着こうと思い、踵を返すと神殿の奥へ進んでいく銀髪の男の姿が見えた。声を掛けようと思い手を振るも、男は気づかずに進んでいく。何か手の中に持っているようで、それを眺めていた。
彼の手の中には小さな紙切れがあった。銀髪の男は突き進んでいく。シンは彼になにかあったのだろうか、と彼の後をついて歩き始めた。
神殿の奥の広間までたどり着くと、彼は紙を広げた。シンも急いで部屋に入ると、後ろで扉が閉まる音がして、彼の心臓が跳ねた。紙には銀の鳥の紋様が描かれている。銀髪の男がそれを顔の前で落とし、ふっと息を吹きかけると紙が燃えだしやがて灰になって落ちていく。
灰がぱらぱらと地面に落ちてゆき、やがて小山の形に積もった。その灰がいきなり光り出したのだ。シンは驚いて感嘆の息を漏らす。
「なるほど、これが...」
その光はあっという間に部屋に広がり、どこからか中性的な声が響き出す。
「やぁ、フォンス。よく来てくれたね。嬉しいよ。そっちの人はどなた?」
「気にするな。こやつは敵じゃない。」
声の主と銀髪の男が自分の存在に気付いていることを知って、おそるおそるシンは声を出す。
「すみません...」
「ま、いいよいいよ。勇者の仲間だったら歓迎さ。ところでご用事は?その紙を使って呼ぶぐらいだからよっぽどのことなの?」
「まず、札を何枚かもらいたい。それから勇者についてだ。」
軽い口調でシンを受け入れる中性的な声と、それを気にすることなく、フォンスと呼ばれた銀髪の男は話し出す。
「勇者は実家に帰ったらしいが本人の覚えがなく、母親は覚えているという。どういうことだ。」
「ふむふむ。」
中性的な声は頷く代わりに相槌を打つ。すると突然落ちていた灰が盛り上がり、二人の人間の姿をかたどった。
「まず、少し昔の話をしよう。フォンス、君なら知っているかもしれないけど。前カイナとその周辺であった戦いの話だよ。そこの君も...聞いたことくらいはあるだろう。」
シンは小さく頷く。灰でできた二人の人間は剣を掲げた。
「ここは勇者の故郷で起きた人間と魔物の戦いの一つさ...その時まだ勇者は子供だったんだ。そう、一希じゃなくて、ちょくちょく聞く有名人の勇者レホくんのほうだよ。で、彼には双子の兄弟がいた。とっても仲の良い兄弟だったのさ。この兄弟の片割れは戦いで命を落としてしまったんだ...魔物にやられてね。それで勇者は魔物を倒しに行くことを目的として冒険に出たといっても過言じゃない。」
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