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Hope of Fantoccini  作者: 蒟蒻
Exploratory Various Humans
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Second Expedition 1

 翌日、朝食の席で昨晩の出来事を一希は仲間に話した。時間は朝と昼の間に近く、殆ど人は見られない。アルバイトのウェイトレスが欠伸をしている。

「とにかくその鳥が事情を話してくれるそうだから、聞いてきたいんだ。」

 スープを飲んでからスプーンを置き、シンは心配そうに尋ねる。

「昨日戦ったばかりだろうだろうに、大丈夫なんですか。」

「ああ、俺は大丈夫だ。」

 一希はこくり、と頷く。パンを飲み込んだあと、マーが申し訳なさげに手を挙げた。

「ゴメン。私は今日、商売の品を相手に引き渡そうと思ってたのよ。チコちゃんがね、自分も手伝うから、今日のうちに終わらせたほうがいいんじゃないかって教えてくれて。もし早いうちに次の旅に出かけるなら、またこっちの都合で動かすわけにもいかないでしょう。」

 チコは小さく頭を下げた。

「すみません...事情を知らずに。余計なお世話になってしまいました。」

「いいんだ、むしろ俺が付き合わせちゃってるかんじだしな。」

 別の日にしてもいい、と言われたのに自分の興味と使命感だけで今日行きたいと言い出してしまった自分に対する若干の恥ずかしさを感じながら一希はチコのフォローをする。そんな彼らの様子を見て、シンも切り出した。

「では、昨日の件につきましては、私のほうからジャコンさんにお話しておきますね。」

「シン、助かるよ。ありがとう。」

「任せてください!」

「よし、じゃ今日も頑張りましょう!」

 マーの声に合わせ、四人はグラスを持ち上げ、軽く掛け声をかけた。




 神殿の様子は昨日からあまり変わっていなかった。入り口の門に特に大きな木があり、その枝にとまっていた銀の巨鳥は、一希を見かけて音もなく彼の前に降り立った。

「よく来たな...一人か。」

「ああ。仲間たちにはそれぞれやることがあってな。」

「まぁいずれ知ることにはなるだろう...さぁついてこい。」

 神殿に足を踏み込むと、巨鳥の姿が一瞬にして変わった。背の高い、長い銀の髪の男だった。目を丸くして鳥だった男を眺める一希に彼は言った。

「これが私のもう一つの姿だ...魔物に呪いにより蝸牛にさせられた。どうやら神殿に残された力で元に戻ったらしいな。」

 彼は歩き出した。言葉を失っていた一希は急いで音を追う。

「まず、この世界には魔物がいて人間としのぎを削っていることは知っているだろう。」

 男の言葉に一希はこくり、と頷く。彼は後ろを振り向かずに歩いているため、一希の仕草を見たわけではないが、話は続けられた。

「人間の歴史の中で昔からこの小競り合いは続いてきたが、最近になって更に激化している。」

 崩れた遺跡を眺めながら二人は歩みを進めていく。

「むしろ小競り合いが続いていたからこそ、お互いは発展を続けることができた。」

 時折風が吹き抜け、男の銀の髪が靡く。それは昨日まっすぐに飛んでいった鳥の尾によく似ていた。

「個人的な考えではあるが、大きな争いにならなかったのはこの小競り合いでのおかげだとも思っている。敵対する生物の存在を当たり前に認識し、どちらも決して思い上がることなどなかったのだ。」

 一部が崩れ落ちた壁画の残りに目をやると、どれも人間の絵と、それと対抗する魔物であろう不思議な生き物の絵が描かれている。文字は読めないがおそらく大切なことが残っていたのだろう。

「話が逸れたな...とにかく人間と魔物の争いはこの30年前後で激化した。」

 進むにつれ、神殿の窓から植物が入り込んでいるのが良くわかった。外では森が一層激しく茂っているのだろうか。しかし、鳥の鳴き声も聞こえず静かだ。

「その中で私たち人間は苦戦を強いられたのだ。そこへ救世主が現れた。」

 男が扉を押し開けると、そこは昨日悪魔と戦った広間だった。神を模したであろう石像が正面にある。神を模したこの石像の多くのパーツは崩れていたが、人間と似た姿をしていたことはなんとか読み取れた。

「それが勇者レホ。彼は文字どおり私たちの希望の存在。これといった魔法の才は無かったが、勇猛果敢で剣術に長けていた。その姿を見るだけで他者の士気はあがるのだ。彼は魔物の王を倒すための旅をしていた。彼は多くの人を助け、激励し、次々に魔物の軍を撃破していった。だから、彼も希望をつなぐ魔法の才を持つ者だという人間もいた。」

 部屋には激しい損傷もあったが、多くの言葉が壁に彫られて残されていた。自分たちには読むことのできない、過去の人が後世に残したかった言葉。男が天井を指さす。一希も頭を上げた。そこには絵が描かれていた。天井には大きな穴がいくつも空いていたが、何が描かれていたか、すぐに分かった。

「彼はこの世界の希望が一つになったような存在だった。」

 鎧を纏った人間が高く剣を掲げている。その顔は一希によく似ていた。

ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。

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