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Hope of Fantoccini  作者: 蒟蒻
Exploratory Various Humans
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First Expedition 5

 戦乱の間を抜けた銀の巨鳥はますます速度をあげて、崖から落ちていく一希目掛けてまっすぐに急降下する。長い尾は崖と並んで伸び、銀色の矢が落ちていくようだった。

 一方で、一希の視界は高速で変化していた。崖のほうにつかまれるような枝はない。固い岩盤を持つ地面がすぐ間近に迫っていた。

 銀の鳥は彼を追い抜かすと、地面すれすれで直角に曲がる。羽毛に包まれたその柔らかな背で一希を受け止め、再び上昇を始めた。

「助かったよ、ありがとう。ええと、」

「名前など今はどうでもよいことだ。まずは勝つぞ。」

「ああ。」


 あまりに早い出来事に、戦っていた一同は味方も敵も互いの存在を忘れ、言葉を失い呆然と鳥の消えていった崖を眺めていた。そして、その視界に再び銀の姿を見やると、一番はじめに動いたのは悪魔だった。

「一人…一羽増えても無駄よ!」

 空中に舞い上がり、手で弧を描くとその軌道に沿って火の玉が浮かび上がり、一希たちに向けて襲いかかる。それに応戦するように、真っ白な光が戦場を覆った。三人の戦士はその眩しさに目を閉じる。悪魔もそれに圧倒されていた。


 彼女が目を覆う手を外し、目を開くと目の前に巨鳥が悠然と翼を広げていた。消えたのは炎の矢だった。突然一陣の風が吹き火をすべてかき消した。続けざまに彼女が無数の魔法陣から矢と魔物を呼び出す。鳥が羽ばたくと輝く風が現れ、魔物たちを吹き飛ばした。

 一希は鳥から降りて、二人の仲間と一向に数の減らないコウモリの魔物を退治していた。彼らの動きは力に溢れて見える。勝機が見えてきたことが大きいだろう。


「乗れ。」

 一希の前に巨鳥は降り、彼に乗るように促した。彼が頷いて乗り込むと鳥は襲い掛かる魔物のかわしながら飛ぶ。気味の悪い叫び鳴き声を上げるコウモリら間をくぐり抜け悪魔の頭上へ飛び出した。

「異世界の勇者よ。あとはお前が決めるだけだ。」

 勇者は剣を構えて飛び降りた。一瞬の出来事に悪魔は高い叫び声をあげて後方へ退くも、その剣は悪魔の羽を掠めた。体制を立て直すべく着地しようとする悪魔に、一希は遠慮なく剣を振るい、間を詰める。否応無しに悪魔は接近戦を求められ、彼女はスーツの懐から小刀を取り出して応戦した。


 剣と小刀のぶつかり合うとが響く。ぎゃあぎゃあとした喚き声をあげるコウモリの魔物たちはマーとシンによって倒されていった。響く金属音が徐々に大きく聞こえるようになってくる。

 一希と戦いながらも彼の仲間を狙い時折魔法陣から炎を放つ悪魔。それは鳥の送る風によって打ち消されていった。


 高い金属音が響き、小刀が弾き飛ばされた。

「きゃっ!」

 刀が落ちる音がしたほうに少しも目をやらず、彼女は一希のスキをついて彼の目の前に手を出し、魔法陣を突き付けた。彼は目の前に瞬間的に現れた魔方陣に対応できず、そのまま剣を振り下ろした。


 一希の剣が悪魔の銀の髪を赤く染めるのと、彼女の魔法陣から火の矢が彼の顔に向かって飛び出すのはほぼ同時だった。彼は矢の直撃を間一髪で避けたものの、炎が彼の顔をなめていた。

「いけない!」

 シンの叫びに答えるように後方にいた巨鳥が高く鳴き宙へ舞い上がり、風を送ると一瞬で炎は消え去る。


 悪魔がその場に倒れた。どさりと音がする。コウモリの魔物は逃げ惑ったり、彼女のそばに駆け寄ったりする。

「終わったのね…」

 マーの言葉に一希が頷く。しばらく主の近くにより沿っていた個体も、それがもう動かないことを認めて、どこかへ飛び去っていた。それを追いかけるものは誰もいない。

 あたりはとたんに静かになり、森から崖へ吹き抜ける風の音だけが流れていた。

 ここまで読んでくださり誠にありがとうございました。

 来週は諸事情により投稿をお休みさせていただき、次の投稿は再来週にさせて頂きたいと考えております。申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

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